2024年11月24日( 日 )

子どもの笑顔と発展の熱気~カンボジア視察ツアー(5)

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 福岡博多ライオンズクラブとデータ・マックスは13日から3泊5日、アンコール・ワット遺跡群を擁する都市・シェムリアップに滞在し、佐世保JCが寄贈したコーントライ中学校、データ・マックスが寄贈したトゥールポンロー中学校の卒業証書授与をはじめ、地雷博物館、日本語学校などの視察を行った。視察ツアーの様子をレポートする。

アンコールワットを見る

アンコールワットへ続く橋<

アンコールワットへ続く橋

 2つの中学校の卒業証書授与式を見た次の日は、カンボジアの歴史に触れた。カンボジア国旗のデザインにも採用されている世界遺産、アンコールワットの視察である。シェムリアップ中心地からバスに揺られること20分、アンコールワット遺跡群の入り口に到着する。

 入口は大混雑。多くの観光客が集まっていた。いったんバスを降り、手続き所で顔写真を撮る。その写真が入った入場許可カードが1人ひとりに配られて、入場を許されるのである。とても厳重な管理がなされていた。アンコールワット遺跡は遺跡であると同時に、現在も使用されている寺院であり、同時に人々の住みかでもある。遺跡の管理エリア内には部落があり、そこで暮らす人も多くいるのである。

 バスを降りると、お土産物の販売をする人々がかごにたくさんの品物を載せてやってくる。日本語とも英語ともクメール語ともつかない、不思議な言葉を用いて話しかけてくる。そのエネルギッシュな印象は、ナイトマーケットやパブストリートのそれと変わらなかった。バス昇降エリアから離れると、土産物の売り子もいなくなった。

 彫刻の施された長大な橋が見えてくる。アンコールワットを囲む大きな濠を越えるためのものだ。アンコールワットには金が多く用いられたという。その金を盗掘する人々から遺跡を守るために濠が掘られたのだ、とガイドのシヴォーン女史が説明してくれた。

雨の中のアンコールワット視察<

雨の中のアンコールワット視察

壁一面にレリーフが施されている<

壁一面にレリーフが施されている

 橋を渡ると、アンコールワットが見えてくる。石造りの寺院だ。巨大な寺院は、全面くまなくレリーフや神像で埋め尽くされていた。その精緻な造形は、かつてのクメール王国の栄華を思わせる。壁面にはヒンズー教の教義、故事を記したレリーフが描かれていた。今でこそカンボジアは仏教国だが、アンコールワットがつくられた12世紀前半はヒンズー教国だったのである。かつてはヒンズー教寺院だった伽藍は、今では仏教僧たちの修行の場となっている。また、仏教の祭事も行われる。伽藍のなかには仏像も配されていた。
 とにかく大きな、一部の隙もない緻密な、とてつもなく美しい寺院遺跡だった。

タ・プロームの入り口<

タ・プロームの入り口

タ・プロームは修復をあえてせず、発見当時の面影を残している<

タ・プロームは修復をあえてせず、発見当時の面影を残している

 アンコールワット遺跡群、という表現をしたが、このエリアにはアンコールワット以外にもさまざまな遺跡が存在する。タ・プロームもその1つだ。タ・プロームはアンコールワットよりも少し後、12世紀後半に建立されたとされる寺院の遺跡だ。かつての栄華を再現しきったアンコールワットと異なり、タ・プロームは発見された当時の雰囲気を残している。ガジュマルが建物を飲みこみ、また、建物はガジュマルのおかげで構造を維持している。レリーフをほどこされた石がところどころに転がっており、今もまだ修復がなされていないことは理解できた。このタ・プローム、実はあえて補修をせずに発見当初の様子を残しておこうという考えもあり、このような異様を今に伝えているのだ、とセヴォーン女史。この独特な遺跡は、映画「トゥーム・レイダー」シリーズの撮影で使われたという。

ガジュマルに飲み込まれ、一体化している<

ガジュマルに飲み込まれ、一体化している

(つづく)

 
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