インバウンドや社員旅行の団体利用も増加 福津市の玄界灘に面したグランピング施設

グランドーム福岡ふくつ

グランピングへの挑戦

　人々が外出・外食を控えたコロナ禍において、飲食事業に逆風が吹いた。そんななかで、水産関連事業を幅広く展開するKOGAグループは2021年、福津市でのグランピング事業、「グランドーム福岡ふくつ」という新たな挑戦を始めた。同グループは鮮魚小売店を中心に、磯丸水産のフランチャイズ店の運営、バーベキュー施設の運営や通販などを行ってきた。古賀善敏代表取締役には以前から「食に関連した新規事業を手がけたい」との強い想いがあり、海に面したロケーションに惚れ込んだことから、参入を決断したという。

    同施設のウリはいくつもあり、津屋崎の海岸にも近く風光明媚なことはもちろんだが、鮮魚も提供するBBQなど、食の充実度の高さも挙げられるだろう。ここではBBQ施設運営のノウハウが生かされている。またピザ、ポップコーン、ポテトチップスなどの手づくりも体験することができる。

　セグウェイや竹馬など、子どもも扱える設備も充実している。海に関連したアクティビティを楽しみたい客には、近隣の連携する施設を紹介している。宿泊客は到着後、こうした体験や遊具で過ごした後、夜はBBQで楽しむ。BBQは食材、調理用具の準備が不要であり（持ち込みも可）、手軽に満喫できる。

    ドーム型テントは冷暖房空調が備え付けで、一年中快適に過ごせる。今年に入ってから外壁のビニールを貼り替えており、なかで寛ぎながらでも最高のオーシャンビューを楽しめるよう常に細心の注意を払っている。最大12名宿泊可能な超大型テントや愛犬と一緒に宿泊できるテント、プライベートサウナ付きテントなども用意しており、多様なニーズに応えている。同種の施設では共用が一般的な浴室とトイレは各テント備え付きであることは、女性にも好評だ。

インバウンド、企業にも好評

    BBQや各種体験など非日常をグループで気軽に楽しめるグランピングは、とくにコロナ禍で人気が高まった。グランドームでも宿泊客は家族連れや女性グループ、カップル、高齢者夫婦など層は幅広い。コロナ収束後も同種の施設としては平均以上の宿泊稼働率を維持している。

　外国人観光客にも好評だ。福津市が香港で観光客誘致のプロモーションを行ってきたこともあり、香港を中心に利用客が増えている。公式サイトで直接予約をする利用客がほとんどで、その多くは近くに宮地嶽神社などの観光地があることもよく知らず、グランピングを目当てに訪れる（西村英朗・グランドーム福岡ふくつ総支配人）というからその人気ぶりがうかがえる。同社でも、利用客により豊かな体験をしてもらおうと、付近の観光地などの情報を掲載したマップを紹介しており、地域の活性化にも一役買っている。一部スタッフが英語で対応できるほか、各テントに備えた端末からは英語のほか、中国語（簡体字・繁体字）、韓国語のチャットポッドが利用できるなどサービスを拡充している。

    KOGAグループでは社員の総会を同施設で2回に分けて開催しており、1回あたり50～60名のスタッフが集まって一緒の時間を過ごしており好評だという（西村総支配人）。このように企業の福利厚生、チームビルディングの一環としても活用されている。時期にもよるが、数十人で貸切ることもできる。オフィスや工場などを離れて、あるいは全国の拠点から集まる場所として、最適な候補の1つだろう。

　観光において、アドベンチャー・ツーリズム、トキ消費などが有望視されるなか、自然を満喫できるグランドームは引き続き国内外の多くの人を魅了するに違いない。多様な顧客にBBQを含めた食を提供することで得られる知見を、祖業の鮮魚事業にもフィードバックしつつ、顧客に楽しみを提供し続けるだろう。

＜COMPANY INFORMATION＞
運　営　：日乃出食品（株）（KOGAグループ）
総支配人：西村英朗
所在地　：福岡県福津市津屋崎4-45-1
開　業　：2021年8月
ＴＥＬ　：0940-39-353
ＵＲＬ　：https://www.fukuoka-glamping.com