巨人軍野球賭博で久々に名前を聞いた大分出身・大鶴基成元特捜部長(後)
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事件をつくることに手を染める
2004年の日歯連事件の捜査で、村岡兼造元官房長官は「大鶴さんと事務官が僕の取り調べにやってきたが、非常に先入観の強い質問内容だった」と取材記者に明かしている。同様にライブドア事件では、ライブドアのナンバーツー、宮内亮治氏らが株式交換の手法を悪用して資金を横領していた疑惑を無視し、ひたすら堀江貴文氏を主犯格に祭り上げるよう事件のスジをゆがめた。佐藤栄佐久福島県知事の汚職事件でも、県の坂本晃一土木部長が密かに2,600万円もの資金を蓄財していた疑惑を隠蔽し、もっぱら佐藤知事が「天の声」を発していたという、きわめてわかりやすい構図に事件をゆがめている。「大鶴さんは普段はほとんど取材に応じないのに、あるとき突然、能弁になることがあります。検察用語で”風を起こす”というのですが、意図してリークしてマスコミを持っていきたい方向に誘導するのです」(全国紙司法クラブキャップ)。
こうした「事件をつくる」ことに手を染めた大鶴氏がやってしまったのが、陸山会事件だった。若手の田代正弘検事が、石川知裕元衆院議員にICレコーダーで録音されているとは知らずに、まったく真実とは異なる捏造した捜査報告書を検察審査会に提出して、強引に小沢一郎氏の起訴に導き出そうと誘導した。民主党政権時の小川敏夫法相(彼自身、検察出身である)が「あまりに異様だ。とても許されるべきではない」として、野田佳彦首相に対して長らく封印されてきた指揮権発動を進言したのも、わからぬではない検察の犯罪である。
もちろん田代検事一人でできることではない。このときの検察内で小沢立件の最強硬派が大鶴氏だったが、こうした極端な手法が笠間治雄検事総長に白眼視され、関西方面の地検に異動させる人事が水面下で進むと、「大鶴本人は出世の見込みがないと感づいて退官した」(元特捜OB)。しかし大手マスコミの社会部司法クラブは検察ベッタリなので、何ら批判的な記事も検証記事も掲載していない。
そうした経歴の持ち主だけに「退官後は企業にコンプライアンスのアドバイスなどをしていたけれど、『えー、大鶴さんが……』と驚いた」(三大紙社会部司法クラブ経験者)。曰くつきの人物だけに今回の熊崎氏の采配は、「大鶴が弁護士として売り出せるチャンスだろう」(特捜OB)と言われている。大鶴氏は地道な調査というよりも、もっていきたい結論に誘導することに手馴れている。巨人軍投手の疑惑も、巨人軍がもっていきたい結論に阿吽の呼吸で落とし込むことになるかもしれない。
(了)
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