2024年12月24日( 火 )

九州地銀の15/9月期(中間)決算を検証する(7)

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11月4日にゆうちょ銀行が民営化され、本格的に金融市場に参加してくるとその影響は計り知れないものがある。先日ある地銀の役員と面談したおり、「大きな脅威を感じている」と語っていたが、いずれ上位行もゆうちょ銀行の脅威を身をもって経験することになると思われる。
 九州地銀(18行)の15年9月期(中間)決算はアベノミクスの経済効果や手厚い保証制度の恩恵もあり、増収増益となった銀行が増えている。ただ一部の銀行にとっては厳しい決算となっており、収益体質の脆弱さが明暗を分けたのも事実だ。


ダウンロード (13) 【表1】を見ていただきたい。

この表から見えるもの

・預金残高第1位の福岡銀行は貸出金残高及び当期純利益においても圧倒的な強さを見せているのが分かる。
・第2位の西日本シティ銀行は九州FGに対抗するために、預貸金ともかなり無理をしている様子が窺える。その反動からか収益が追い付かず、福岡銀行との差が広がる傾向にある。
・第3位の肥後銀行と第4位の鹿児島銀行が昨年11月10日、電撃的に経営統合を発表。「西日本シティ銀行を上回るフィナンシャルグループの誕生」と大きな話題となった。先月1日に九州FGが誕生したが、【表2】の通り、西日本シティ銀行の総資産は8兆7,093億円で、単純合算した肥後銀行・鹿児島銀行の8兆6,970億円をわずかではあるが上回っており、1年をかけずにその座を奪い返している。


<現在の勢力図>
 来年10月に西日本シティ銀行はFG設立を予定しており、九州地銀はふくおかFG、西日本FG(仮称)、九州FGの三グループが上位を独占する様相を呈している。
・ふくおかFG(4行)   福岡銀行・熊本銀行・親和銀行・福岡中央銀行
・西日本FG(3行)    西日本シティ銀行・長崎銀行・豊和銀行
・九州FG(2行)     肥後銀行・鹿児島銀行
・山口FG傘下(1行)  北九州銀行


 これに対抗するためにグループに属さない下記8行は今後どのような動きを見せるのだろうか。
・第一地銀(5行)   大分銀行、十八銀行、宮崎銀行、佐賀銀行、筑邦銀行
・第二地銀(3行)   南日本銀行、宮崎太陽銀行、佐賀共栄銀行


 グループに属さない銀行が単独で生き残るには難しい状況になってきている。人口の減少に伴う地域経済の縮小に加え、新たにゆうちょ銀行の民営化による攻勢が始まったからだ。特に第二地銀にとってはもはや猶予はない状況に直面していると言えそうだ。

(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎 裕治】

 

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