2025年下半期 福岡市の開発動向(後)

中央区
下半期も1,000戸割れ

 25年下半期の計画戸数は、上半期比220戸減の739戸となった。天神や大濠など複数の人気エリアを擁する中央区では、開発用地の取得が困難になっている様子がうかがえる。それでも計画戸数は博多区に次いで2番目に多く、さまざまな物件が計画されている。

8_(仮称)清川二丁目ホテル 25年8月撮影
(仮称)清川二丁目ホテル 25年8月撮影

    注目されるのは、(株)日建ハウジング(沖縄)による(仮称)清川二丁目ホテル。天神・博多の両エリアに近い立地で、RC造・地上10階建、延床面積3,360.92m2、客室数69室。営業予定者は(株)Satisfillとなっている。また、地下鉄七隈線・桜坂駅から徒歩5分圏内の、(株)ストーンマーケットの代表宅としても知られる場所では、(株)ユニバーサルエージェントによる(仮称)アクロス桜坂が計画されている。建築物の概要は、RC造・地上5階(地下1階)建、延床面積4,980m2、ワンルーム外35戸。設計者はアッシュアーキテクトスタジオ(株)で、6月頃の着工を予定している。

(仮称)アクロス桜坂 25年8月撮影
(仮称)アクロス桜坂 25年8月撮影

 このほか、大名1丁目で(株)明治産業がテナントビル・(仮称)MGH大名335Project(RC造・地上7階建、延床面積1,492.48m2)を、警固1丁目で(株)recens(東京)が(仮称)ModernPalazzo警固1丁目(RC造・地上7階建、延床面積995.43m2、ワンルーム外11戸)を計画している。

南区
賑わう大橋周辺エリア

 南区の計画戸数は上半期比73戸増の468戸となった。南区の計画戸数は増加傾向で推移している。西鉄天神大牟田線・大橋駅前に新たなランドマーク、複合商業施設・OHASHI HILLがオープンしたこともあり、同駅を起点に、大橋エリア全体の新陳代謝が促されている。(株)アライアンスは大橋4丁目でCLUB THE. HOUSE大橋テラス(RC造・地上10階建、延床面積3,994.22m2、ワンルーム外33戸)の販売を行っているほか、大橋3丁目で(仮称)クラブスタイル大橋を計画。建築物の概要はRC造・地上11階建、延床面積3,966.97m2、ワンルーム外45戸となっている。同駅周辺では更地や解体中の物件も見受けられることから、街並みの更新がさらに進むことは間違いない。

 このほか、西鉄天神大牟田線・高宮駅まで徒歩10分程度の大楠1丁目では、(株)セゾンリアルティ福岡支店が(仮称)南区大楠1丁目PJを計画。建築物の概要は、RC造・地上5階建、延床面積724.27m2、ワンルーム20戸で、設計者は東洋建設工業(株)となっている。中央区にも近い大楠では、東宝住宅(株)による(仮称)大楠3丁目計画(RC造・地上10階建、延床面積5,400m2、ワンルーム外45戸)や、(株)フージャースコーポレーション(東京)による(仮称)大楠一丁目計画(RC造・地上11階建、延床面積1,297.79m2、ワンルーム30戸)も計画されており、大橋エリアと併せて引き続き開発動向が注目される。

西区
姪浜周辺が活況

 計画戸数は261戸で、25年上半期比で微増となった西区。JR九大学研都市駅周辺エリアでの計画にも一服感が見られ、マンション開発は再び西の玄関口・姪浜エリアで目立つようになっている。

 注目されるのは、地下鉄空港線・JR姪浜駅まで徒歩10分圏内の場所で計画されている、GLC GROUP(株)(仮称)LIBTH姪の浜1丁目_215。建築物の概要はRC造・地上7階建、延床面積801.94m2、ワンルーム18戸で、設計者はLIBTH DESIGN一級建築士事務所となっている。姪の浜1丁目では、(株)えんホールディングスも(仮称)エンクレスト姪の浜1丁目(RC造・地上13階建、延床面積4,132.54m2のワンルーム108戸)を計画している。

 このほか、下山門4丁目で(株)カシムラホールディングスが(仮称)OAK VILLA姪浜ウエストコート(RC造・地上5階建、延床面積1,578.08m2、ワンルーム外25戸)を、愛宕3丁目で(株)とり市が(仮称)愛宕3丁目Kビル(RC造・地上4階建、延床面積610m2、ワンルーム14戸・ワンルーム外1戸)を計画している。姪浜の隣接エリアである小戸エリアでは、同エリアのランドマークだった複合商業施設・マリノアシティ福岡跡地において、三井不動産(株)と福岡地所(株)による(仮称)三井アウトレットパーク 福岡の建築工事が始まっており(27年春開業予定)、今後、姪浜・小戸の両エリアで開発機運が高まっていくことが予想される。

城南区・早良区
早良区で400戸超計画

 城南区・早良区の25年下半期における計画戸数はそれぞれ142戸・454戸で、城南区は上半期に続いて100戸超えとなり、早良区は22年下半期以来の400戸超えとなった。城南区では梅林や飯倉など、地下鉄七隈線沿線エリアでの計画が目立った。一方、早良区では、地下鉄空港線沿線エリアの室見や西新など、従来から一定の開発需要があったエリアでの開発が目立った。

 城南区で注目されるのは、地下鉄七隈線・別府駅から徒歩10分圏内の場所で計画されている(仮称)鳥飼五丁目計画。建築物の概要はRC造・地上14階建、延床面積3,143.70m2、ワンルーム外29戸で、建築主は(株)LANDIC、設計者は(株)アーキスタイルとなっている。

 早良区で注目されるのは、空港線・西新駅から徒歩10分程度の場所で計画されている(仮称)西新7丁目計画で、建築物の概要はRC造・地上10階建、延床面積7,950m2、ワンルーム外94戸。建築主は住友不動産(株)住宅分譲事業本部、設計者は(株)穴吹工務店で、5月頃の着工を予定している。

大型竣工相次ぐ 26年の福岡市再開発

 天神ビッグバンなどによる再開発ビルが次々と竣工を迎える一方で、地価や建設コストの高止まりから、JR九州の博多駅空中都市プロジェクトが中止されたように、計画の中断を余儀なくされる事例も出始めた福岡市のまちづくり。

 26年は上半期に天神一丁目の(仮称)天神ビジネスセンタービル2期計画が竣工を迎えるほか(6月竣工予定)、博多でも博多コネクティッドの適用を受けた西日本シティ銀行新本店ビル「西日本シティビル」が3月竣工予定だ。

 はたして都心のオフィスは埋まるのか。ホテルを含む複合開発によって滞在時間の拡大につながるのか。そして、中央ふ頭・博多ふ頭といった湾岸エリアの再整備計画・ウォーターフロントネクストは、先行する天神・博多の再開発と相乗効果を発揮できるのか。国家戦略特区としての優位性を生かしたまちづくり施策の“その後”に注目が集まるなか、都心の再開発と海辺の再整備をうまく結び付けることができれば、都市・福岡の底堅さを支える新たな成長物語を描くことができるはずだ。

(了)

【代源太朗】

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