レストラン改装プロジェクトでシティホテルにリゾートの夢を

（株）ホテルオークラ福岡　常務取締役総支配人　高栁　健二

福岡に期待される癒しの地

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（株）ホテルオークラ福岡 高栁 健二 常務取締役総支配人

　（株）ホテルオークラ福岡に着任して、今年６月で４年目となる高栁健二総支配人。福岡に来る前、（株）ホテルオークラ東京で副支配人を務めていた頃は、シティホテルのセールスポイントは、MICEのようなビジネストラベルに必要とされる機能性だと考えていた。だが、「福岡に出張で訪れる方は、ビジネスという目的に加えてリゾート感、癒しを求めている方が多い」と気づき、以来「シティホテルに求められるリゾート性」に着目している。リゾート、すなわち癒し空間の提供は、同ホテルのテーマでもある。たとえばエントランスは、宿泊客以外の人々にも待ち合わせなどに利用してもらえるよう、中央に座り心地の良い椅子を置き開放している。一昨年15周年を迎えたが、これに合わせてロビーコンサートの定期開催も始めた。すでにファンがついているようで、毎回100名ほどの観客が集まっている。

　さらなる節目の年への第一歩を踏み出した2015年は、「食による癒しの提供」に力を入れるべく、全館を上げてレストランの改装に取り組んでいる。きっかけは、朝食の提供を行う１階の「カフェテラス カメリア」が手狭になり、お客さまをお待たせすることが多くなってきたこと。「カメリアをもっと広く」と思ったが、構造上同じ場所での拡張は不可能。それならば同フロアにある「バロンオークラバー」とこれに隣接する「バロンオークラ ワインダイニング」をつないでカメリアにしてはどうか、ということになった。現在、カメリアがあった場所を新ラウンジ＆バーに改装中。その間の朝食・喫茶・軽食は地下の「オークラ ブラッスリー」で提供している。
　シティホテルに欠かせないのは、『朝食』『スウィーツ』『バー』の３点。これらの機能を途切れさせないよう別施設に委ねながら、順次改装を行い、各レストランとの連携や兼ね合いなどを見ながら全体的に統一感を出していく。ほぼすべてのレストランを自社で運営しているからこそできることだ。こうして15年５月から10月にかけて、「食によるおもてなし」を大切にし、行き届いたサービスを行うべく、より充実した食の癒し空間を次々と誕生させた。

オリジナルクラフトビール「博多ドラフト」誕生

　「シティホテルは進歩があるからこそ、商品価値を高めることができます。お客さまに満足していただくためのご要望は、際限なく生まれます。これに応えるためにも、より高級感を高めたい。これは金銭的な意味ではありません。心の贅沢を味わっていただくという意味での高級感です」と、高栁総支配人。自身では「朝食」の在り方に着目している。オークラグループ内の国内外のホテルに勤務したときに、数々の例を目にしてきた。個人的にも、出張に出れば必ず複数のホテルに朝食の視察に行く。ビジネスホテルも例外ではない。「機能性という面で、ビジネスホテルには学ぶべき点が大いにあります」という。

　また、高栁総支配人がホテルオークラ福岡の特長として、「ほかにない設備」と瞠目したのは、施設内に地ビール醸成所があること。主原料にこだわり福岡・博多の軟水を用いた地ビールは、これまでビアカップやコンペティションなどで金賞を受賞するなどの実績を上げてきた。「これをホテルの武器にしないという手はない」と社内で意見が一致し、「アルス」「シェーンアルト」「ダイコク」の３点を一昨年、ホテルオークラ福岡のオリジナルクラフトビール「博多ドラフト」としてブランド化し、店舗厳選で卸販売も始めた。先日、国際会議のために同ホテルを訪れた海外宿泊客にウェルカムギフトとして提供したところ、大いに好評を博したそうだ。

　「国内外の人に福岡を味わってもらいたい」という高栁総支配人。その言葉には、「ホテルオークラ福岡ならではの福岡の味をまんべんなく楽しめるホテルでありたい」という理想像が込められている。

＜COMPANY INFORMATION＞
（株）ホテルオークラ福岡
代　表：水嶋　修三
所在地：福岡市博多区下川端町3-2 博多リバレイン
創　立：1999年３月
資本金：５億円
ＴＥＬ：092-262-1111
ＵＲＬ：http://www.fuk.hotelokura.co.jp

＜プロフィール＞
高栁　健二（たかやなぎ　けんじ）
福岡市出身、1968年３月生まれ。一橋大学社会学部卒業後、（株）ホテルオークラ東京入社。以来、国内外のオークラグループのホテルで役職を歴任。2012年６月に福岡へ着任。趣味は料理。