政治の劣化の原因は小選挙区制度
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自民党副幹事長 衆議院議員 武田 良太
中曽根内閣以来の国家観を持つ安倍内閣
今年で戦後70周年、日本は焦土と化した廃墟から、曲がりなりにもここまでの国際的な地位を得て、ここまで平和で安定性のある国はないと評価されるくらいに至った。この先人の努力と日本人の才能は本当にすごいものだと私は思っています。
それを踏襲しながらも、国際情勢、時代の変化に対応し、国家のアイデンティティーとは何か、日本とは何なのかを真剣に考えないといけない。まず国家像がない限り、小手先の対症療法ばかりで政治が回っているというのは、これは悲劇だと思います。
安倍内閣は、国家というものをもう一度つくり直そうとしている。中曽根内閣以来の国家観を持った内閣だと、私は高く評価しています。
国家ビジョンを描ける人が、政治のリーダーであり、同時に、民主主義の国で、意見の違う人や価値観の違う人もいますので、そういう方々を1つの意見にまとめていくには、丁寧な説明能力、根気強さを徹底的に身につけていかなければ、今からのリーダーは国民から負託を受けることはできないと思います。
中選挙区を改良して新たな選挙制度を
自民党は、最後は一枚岩にまとまっていくのは鉄則ですが、小選挙区制度になって以降、「政高党低」と言われるように、党の権力に対する影響力が本当に弱くなった。また党内の議論が非常にさみしくなってきた。そのところが一番政治が劣化している状況ではないかと思う。
国会議員、とくに衆院議員は代議士、代弁者であって、さまざまな意見を一手に担って国会に出てきている。総理官邸が決めたからと言って、党がそれにすべて追随するという姿は決して健全ではない、と私は思います。
中選挙区制度では1つの選挙区から自民党の候補者が何人も出て、良い意味での派閥の政策集団も存在した。当時の言葉で言えば、総裁派閥である主流派と、そうではない反主流派があって、外交問題、内政問題、すべての問題について、反対意見が明確に存在した時代だった。自民党内でいろいろな意見があるというところで、自民党は多くの幅広い有権者の支持を得て、長年にわたり政権与党として負託を受けてきたと思う。
政党政治のあるべき姿を立て直す
今一度政党政治というものを見つめ直して、党が権力に対し健全に影響力を持っていくかたちに戻すことが重要だと思います。それが、議院内閣制、政党政治のあるべき姿であって、そうしたことをしなければ、いろいろな手続きがきちっとしていても、国民に映る姿は、権力が力の限り突き進んでいっているように見受けられることが起こってくる。
私が若い頃には、とにかく有権者のもとに足を運び、直接有権者から意見を聞くことこそが政治家の教科書だと習いました。今は、国民と血が通っておらず、非常に議論が空虚というか、説得力がなくなってきています。これも、小選挙区制度の弊害の1つです。今一度、国民的議論で、中選挙区を改良した新たな選挙制度をつくり上げていくことが、大きな政治のテーマになると思います。
私は、あと5年もすれば、政治家として20年のキャリアになりますから、それからは、マックス・ウエーバーが言うように「権力に影響を与えようとする努力」を果たせるように、じっくり修行していきたいと思っています。(談)
※記事内容は2015年8月31日時点のもの
<INFORMATION>
武田良太衆院議員田川事務所
所在地:福岡県田川市大字弓削田3513-1
TEL:0947-46-0224
URL:https://www.ryota.gr.jp/<プロフィール>
武田 良太(たけだ りょうた)
1968年生まれ。早稲田大学大学院修了。93年7月の衆院選挙(旧福岡4区)に初挑戦、2003年衆院選挙で、4回目の挑戦で、福岡11区から初当選(5期連続当選)。元防衛副大臣。現在、自民党副幹事長、地方創生実行統合本部事務局長代理、安全保障調査会事務総長。関連キーワード
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