小倉・魚町銀天街から始まるリノベーション活動(1)
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「リノベーション」、さらに「リノベーションスクール」という言葉をご存知でしょうか。
リノベーション(renovation)とは、デジタル大辞泉によれば「近年では、建築物の改造についていうことが多い。とくに、古い部分の補修や内外装の変更程度にとどまるリフォームに対し、増築・改築や建物の用途変更など、資産価値を高めるための大規模な改造をさす」、とされています。さらにいえば、建築物の単なるリフォームにとどまらず、まちづくり、地域づくりの一環として建築物の改造ないしあり方を考えようというものです。このリノベーション活動を基にした「リノベーションスクール」が小倉・魚町から全国に波及しています。「リノベーションスクール」という用語、商用登録までなされています(このことの詳細は、後に記述します)。
その主役、誰がこのような仕組みを考えたのか、どういう経緯があるのかについて関心はありませんか。そして、読者の皆さんがお住まいの地域のまちづくり、商店街活性化に役立てようと思われませんか。
今回のシリーズでは、何回かにわたってそのことについて紹介し、まちづくりの新しい方向性について考えてみようと思います。その前に、このリノベーション活動は、北九州市小倉魚町銀天街を舞台にして展開されてきましたので、これの基となる北九州市小倉地区中心市街地活性化計画について再度触れておきたいと思います。というのも、この記事(「地域づくりにマーケティング発想を!」)の初期、2011年2月にこの小倉地区の中心市街地活性化計画(中活計画)について紹介していたのです。
しかし、ここではその後の輝かしい活動について触れるにあたって、読者の皆さんにその経緯を紹介しておく必要があると思われます。一部過去の記事と重複するかもしれませんが、ご容赦ください。さて、中心市街地活性化計画とは、大型店、郊外店の進出により疲弊する都市における中心市街地を活性化する目的で06年6月に施行された「中心市街地の活性化に関する法律」に基づく計画です。北九州市では、08年5月に内閣総理大臣あてに「北九州市中心市街地活性化基本計画(小倉地区)」および「同(黒崎地区)」を申請しています。この申請が同年7月に国により認定されます。この計画により設立されたのが北九州市小倉地区中心市街地活性化協議会です。
当初の計画期間は08年度から12年度の5年間ですが、北九州市では1年延長して13年度までの活動期間となっています。
筆者は、この計画期間中の10年度にこの協議会のタウン・マネージャーを務めており、小倉中心部のさまざまなまちづくり計画、地域活性化計画に携わっています。その経験も踏まえて以下記述して参りたいと思います。中活計画では国からの支援を受けてハード面、ソフト面において多様な中心市街地活性化事業を行います。そして、その活動に対してさまざまな数値目標を掲げます。
その最もわかりやすい指標が中心市街地(商業地)における歩行者通行量ではないでしょうか。結論から先にお話しますが、小倉中活の場合、歩行者通行量についてはかなりの成果(回復基調)を示しています。
図(資料は、「認定中心市街地活性化基本計画の最終フォローアップに関する報告」北九州市、14年5月による。直近の数値は北九州市へのヒアリング。調査方法などは煩雑になるので省略します)にみるように、多くの中活地区で通行量の基準値を上回ることがまれな中、小倉中活では基準値(H19年)をH27年までの間、5年も上回っています。もちろん、図中の最高値のH10年を上回るのは至難の技です。しかもH25年の目標値も上回っていません。したがって前記「最終フォローアップに関する報告」では、通行量の自己評価では、「B(計画した事業は概ね予定どおり進捗・完了。一方、最新の実績では基準値を超えることができたが、目標値にはおよばず。)」と今一歩の評価となっています。ちなみに、図ではH27年はやや落ち込んでいますが、直近の調査、H27年10月調査では、その値が15万8,188人とかなり回復しています。
さあ、このような成果をあげた要因は奈辺にあるのでしょうか。
そのことを次回以降にお話しましょう。(つづく)
<プロフィール>
M&R 地域マーケティング研究所
代表:吉田 潔
和歌山大学国際観光学研究センター客員研究員、西日本工業大学客員教授、福岡大学商学部非常勤講師関連キーワード
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