循環と再生、リセットの場としての神社
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筥崎宮 権宮司 田村 邦明
目に見えない存在に手を合わせる
福岡市東区箱崎に鎮座する筥崎宮は、博多湾の浪寄せるお潮井浜から楼門まで、およそ650mの長大な参道が続く神社です。1月3日に行われる玉せせりや、9月12日~18日の期間に開かれる放生会といったお祭りで知られ、毎年大勢の参拝者がお越しになります。
筥崎宮は今から1,094年前の延喜21(西暦921)年、八幡大菩薩の託宣により、延長元(西暦923)年に創建され、飯塚市(旧・嘉穂郡筑穂町)の大分八幡宮から遷座したと伝えられています。筥崎宮は、第十五代応神天皇さまを主祭神として、神功皇后さま、玉依姫命さまをお祀りしています。神功皇后さまが筑紫の宇美で応神天皇さまをご出産された際、御胞衣(へその緒と胎盤)を筥(はこ)に納め、現在の筥崎宮の桜門の側の朱の玉垣で囲まれた所に埋め、その標に松を植えたとされています。「筥松」と言われる松、そして地名の「箱崎」の由来はここにあると言われています。
古来より現在に至るまで連綿と受け継がれてきました、「目に見えないものに手をあわせる」という所作。鎌倉時代、第三代執権北条泰時公がつくられた御成敗式目の冒頭に『神は人の敬いによりて威を増し、人は神の徳によりて運を添ふ』という言葉があります。人が神さまに対して感謝の気持ちを捧げると、神さまはそれに応えてお守りし、お導きなさるという意味です。
目に見えるもの、目に見えないものがあるのは人間関係も同じと言えますが、目に見えない存在に手を合わせ、敬意を表するという所作は、心の持ち方を気づかせてくれます。循環のなかでの再生
日本は四季折々の情趣に恵まれ、それに応じた祭事もあり、1年の循環を感じやすい国柄だと言えるでしょう。なかでも福岡は、初詣に始まり、節分、ひな祭り、どんたく、博多祇園山笠、七夕、お盆、放生会、秋祭り、七五三…と、御祭りごとに事欠きません。そうして私たちは循環を繰り返して生きているわけですが、たまにはリセットというものが必要になってきます。
リセットというと、日本語では負のイメージが強い言葉であるように感じられるかと思いますが、1日を1つの循環と捉えるならば、寝ることはリセットであると言えます。神社でのお祓いは、厄年のお祓い以外に、1年を半分にした、6月の終わりと12月の終わりに行う大祓があります。大祓とは、半年間過ごしてきたなかで無意識のうちに犯してきたと思われる罪穢れを祓うものです。後の半年間を無事に過ごしていくための、1つのリセットであると言えるでしょう。物事を新たにする大切な節目です。お宮にいらっしゃった際には、お祓いで心身の罪穢れを祓い、清らかになって、物事を感じる受信機、受け入れる度量を研ぎ澄ませていただきたいと思います。
神社ではさまざまな作法、所作の型が有り、何かと難しく厳しくあると思われる方が多いかもしれません。固くなりすぎず、自然体でお越しいただければと思います。神さまに仕える私たちは、皆さまのさまざまな願いが成就できるよう祈りの場(社頭)の環境を整えていきたいと思います。(談)
※記事内容は2015年8月31日時点のもの
<INFORMATION>
筥崎宮
所在地:福岡市東区箱崎1-22-1
TEL:092-641-7431
URL:http://www.hakozakigu.or.jp<プロフィール>
田村 邦明(たむら くにあき)
1968年7月20日生まれ。93年、國學院大學神道学専攻科修了後、明治神宮に出仕。2000年より筥崎宮に奉職。01年に権宮司を拝命。法人名
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