「激動するアジア情勢と中国経済の行方」~浜田和幸・参院議員が講演(後)
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参議院議員で国際政治学者の浜田和幸氏は4月4日に開いた福岡市の講演会で、「中国企業の海外投資はものすごい勢いで増えている」と中国経済の勢いを語った。2015年は171件150億ドルの投資があり、16年に入っても2カ月で30億ドルを超えている。こうした投資拡大の背景には、中国の企業が国営であること、つまり中国共産党の方針が国営企業と一体化している強みがあると解説。中国経済の失速がささやかれているものの、15年には世界の大富豪ランキングで米国を抜いた。日本での爆買いは氷山の一角にすぎず、1億人の海外ツアー客のうち来日しているのはわずか500万人。裏を返せば、インバウンドにはかなりの伸びしろが残されているということである。
「中国は権謀術数の国として長い歴史を持つ。そう簡単に内部崩壊しない」。米国の主な政治家にも中国マネーが入り込んでいるという。このように手練手管に長けた国とどうすればうまく付き合っていけるか。それには一般国民の悩みを解決する姿勢を示すことだと浜田氏は主張する。現在、中国で深刻なのは環境問題。「北京では毎年、驚くべき数の奇形児が生まれている状況」。この解決が喫緊に求められている。そこで中国の資金力を使い、日本の高い技術力を使って環境改善に貢献するというアイデアを提示し、中国国民の信頼を獲得することが両国の連携を深めると説明した。
日本は国連が発表した2016年版「世界幸福調査」において、53位にランキングされた。OECD加盟国としては最下位。1位はデンマーク、米国は13位となっている。かつてGDPで世界2位だった経済大国という状況から遠ざかっており、その不満が政治に反映しているのが現状だ。「日本に生まれて良かったと思える環境に変えていかなければならない」と浜田氏は熱を込める。そのために目を向けるべき地域がアジアだ。P.M2.5が世界で最も深刻な都市がインドのニューデリー。汚染大気の浄化や健康回復に日本の高度な技術で協力し、世界最先端のロボット技術も活用する。さらに「国民が政府に依存する体質をやめ、地域で独立するぐらいの気持ちにならないといけない」と発破をかけた。
一方、日本経済に重くのしかかっている問題が福祉だ。このまま福祉関係の予算が増えていけば、国家財政を破たんさせてしまう。問題は平均寿命と健康寿命に開きがあることだ。いくら長生きしても、健康でなければ意味がない。そこで浜田氏が提案したのが「Counterclockwise」。時計の針を逆転させようというこの取り組みは、20歳若いという意識づけを行うことによって体質改善を図る。例えば70歳の人に50歳のころの環境を与え、意識の若返りを促す。すると体もその当時の健康を取り戻すとされ、実際にそうした例もあるという。健康寿命を延ばすための創意工夫を凝らし、医療や介護にかかる負担の軽減を図っていく。こうした流れを実現するためのきっかけが20年の東京五輪・パラリンピック。国民一人一人が大会を成功させるために協力することで、ライフスタイルの転換につなげていくというのが浜田氏の考えだ。
資源小国といわれる日本だが、「排他的経済水域には400年分のエネルギーが眠っている」。燃える氷とも呼ばれるメタンハイドレートだ。「世界のエネルギー事情を考えると、無尽蔵の資源を開発することができれば世界に貢献できる」とメタンハイドレートに注目する。環境、健康、エネルギーなど、日本の高い技術力を生かせる分野は数多くある。そうしたものを生かしながら、「日本発の新しいビジネスモデルを作り出したい」と意気込みを語った。
(了)
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