2024年11月26日( 火 )

【パナマ文書】企業・団体のリーダーは潔く表明すべき!

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business2 連日、各報道にて情報発信されている『パナマ文書』─国際調査報道ジャーナリスト連(ICIJ・本部ワシントン)が日本時間5月10日未明に発表した、パナマ文書およびオフショアリークスからの発信元の租税回避地(タックスヘイブン)の実態を示した各データ類。世界各国首脳周辺の関係者や世界規模の企業、そして日本国民の誰もが知る名だたる企業・団体と、タックスヘイブンとの関係が続々と判明した。

 当初筆者は、「いくらお金を儲けても強欲は留まらないのであろう」という程度の感想であった。しかし、タックスヘイブンとの関係性を示されている日本の業界をリードする経営トップが、「当社は、租税回避のためにタックスヘイブンと関わりを持ってのことではない」という旨の回答に終始。皆が“他人事”とするコメントであったことに、違和感があった。全く潔さがなかった。逃げ口上ばかりであった。

 タックスヘイブンの意義目的ついて調べてみると、国際金融取引を活発化させる目的として、一定の減税措置や外国資本企業は登記費用のみで、法人税がかからない会社設立方法・通貨決済方法が設けられること。その外国資本企業の所在地の主力が、ケイマン諸島、バージン諸島といったカリブ海の島国だ。ケイマン諸島の外国資本企業法人税減免システムは、“英国のシティ・オブ・ロンドンの課税システムをそのまま導入したこと”とされている。

 よって、現在の国際金融取引においては、租税負担の軽減を目的として、多くの資金がタックスヘイブンを経由しており、各企業の競争力維持のために必要不可欠な存在である。その一方で、「ケイマンやバージン諸島など税率の低い国や地域に実体のない子会社を設け、利益を移して税負担軽減を狙う目的に使う企業多い。また、タックスヘイブンには、本国の取締りが困難だという点に目を付けた、暴力団やマフィアの資金や第三国からの大量な資金がマネーロンダリングされている可能性が高い」(金融業界関係筋)と合法か違法であるかは、そのケースごとで精査しなければ判明しない。

 合法・違法はさておき、一人の日本人としての心情はどうなのか──税は、国家や地域が繁栄するためにそして、国民の幸福のために活用されることが原則である。要するに“公共性”という姿勢の観点である。合法的にタックスヘイブンを使っての“節税”を行うことは、法的には問われないであろう。だが、自国の企業経営者として、一国民として自身が税を納めて、国や地域が発展し活性化し、また公共の福祉に活用されることを願うのが本来の心ではないだろうか。「私腹を肥やす政治家や官僚などに使われたくない」という気持ちもあるだろう。だが、ほとんどの政治家や官僚の方々は、一生懸命に国や地域の繁栄と活性化そして公共の福祉のために汗水を流している。

 お金に関する価値観は、人それぞれであろう。当然、節税も行う。ならば、自国で堂々と節税をして自国の中で納税すれば良い。タックスヘイブンなど小賢しいことはせずに、正々堂々と節税することが自国の一人間としての姿勢ではないだろうか?

【河原 清明】

 

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