ブローカー末広産業率いる「九日会」~福岡市発注工事
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杭打業者税金ピンハネの実態(4)
福岡市発注の公共工事において、納税者をあざ笑うような杭工事業者の受注実態が発覚した。問題の工事業者は福岡市西区に本社を置く末広産業(株)(佐藤九一郎代表)。従業員わずか5~6名、工事用の機械も持たない同社が一次下請に入り、工事代金の一部を事実上ピンハネしている状況だ。データ・マックスは、同社が施工に関与した公共工事の関連文書を福岡市に情報公開請求。入手した資料から、過去3年間の市発注工事において、同社が施工に関わった26件すべてが一次下請であったことが判明した。施工体系図や下見積書からそのありえない実態を報告する。
勉強会という名の談合会議か
杭打ち大手と地場企業で構成される「九日会」という勉強会がある。同会にはジャパンパイル、大洋基礎など大手杭業者に加え、地場では同社が入り、6社ほどの勉強会だという。九日会の「九」は末広産業社長の佐藤九一郎氏の「九」が由来だとされる。受注実態から一連の采配を振るっているのは、末広産業であり、会の中心メンバーが佐藤代表だと考えて、間違いないだろう。
今回、判明した下見積参加業者の多くが、この九日会のメンバーである。下見積もりとは、自治体が公共工事の予算をはじき出すために、参考にするもので、入札前に複数の業者に材料を含む建築費の見積もりを依頼する。入手した杭工事の下見積書を見れば、見積もりに参加した3業者がすべて九日会メンバーという案件もある。(添付資料)状況だけ見れば、見積もり金額の調整も、十分可能。3社で話を合わせて、価格競争を避け、杭工事の予算を確保するように動いてもおかしくはない。また、下見積もり参加業者3社がそのまま下請け工事に入っているケースもある。これは隠れた談合ではないのか。
見積もり不参加でも一次下請に
下見積もりで最安値を入れた業者が一次下請に入る。これは想像に難くない。下見積もりに同社が参加したのは、判明した23件のうち9件。この見積もりで同社が最安値を提示したのだろう。しかし、注目したいのは同社が下見積もりに参加していない14件だ。半数以上の下見積もりに、同社は参加していない。この場合、下見積もりで最安値を提示したのは、他の業者となる。そこがそのまま一次下請に入れば、疑う余地はないが、わざわざ一次下請に末広産業を入れている。見積もりとは自社がその施工を行う際にかかる利益、費用を加味したもの。一次に末広産業を入れてしまうと、その下見積もり金額は意味を持たなくなる。この表を見る限り、末広産業が下見積もりに参加していない場合、最安値を入れた業者が二次下請となっていると推測できる。
「既製杭ならA社、場所打ち杭ならB社」のように杭の種類、工法により下見積もり参加業者は決定される。末広産業は大手杭業者の代理店として機能しており、幅広い現場に対応できる。施工実態がないのに、選ばれるワケはここにもある。それを可能にしたのが「九日会」という集まりなのだ。
さらに取材を進めると、ありえない数字が飛び出してきた。それが同社の施工件数である。
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