違法な事業実態次々と判明 杭打ち「末広産業」の問題拡大
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福岡県に虚偽の工事経歴を報告した疑いが持たれている杭打ち業者「末広産業 株式会社」(福岡市西区、佐藤九一郎代表)が、他でも違法と見られる行為を繰り返していたことが明らかとなった。これまでに判明した同社の虚偽報告は、大分県中津市と福岡市の発注工事で2件。その後の取材によって新たに4件の虚偽報告が見つかり、組織的に違法行為を行っていた疑いが濃くなった。
9月27日時点で、判明している虚偽報告件数は、既報の2件を合わせ、計6件。以下が新たに発覚した工事である。下は、末広産業が2013年3月期から15年3月期の決算変更届において、福岡県に報告していた工事経歴の内容だ。
データ・マックスは4工事の発注者に対し、同工事の関連文書を情報公開請求し、施工体系図を入手。下請業者のすべてを確認したところ、「末広産業」の名前は確認できなかった。
4工事の施工体系図の中から杭打工事(地盤改良工事を含む)の部分を抜き出すと、以下のようになる。
末広産業の工事経歴報告によれば、注文者である元請、もしくは一次下請より下請工事を受注していることになっている。報告が事実なら、施工体系図の一次下請、もしくは二次下請に入るはずだ。杭工事の部分を確認したが、名前は出てこない。杭以外の工事も同様に確認したが、末広産業の名前はどこにもなかった。施工体系図が示すように、末広産業は施工に関与しておらず、福岡県への報告が虚偽だった可能性がある。なお、「高宮浄水場1号高所配水池築造工事」に関しては、末広産業が注文者と報告している、ジャパンパイル(株)の名前すら見つかっていない。
佐賀県小城市発注工事の元請JVの1社である(株)中島工務店に確認したところ、「これまで一度も末広産業との取引はない。下請業者は施工体系図通りで間違いない。杭工事の代金は一次下請の佐賀県食糧に支払った。なぜそんな経歴を報告しているのか、理解できない」とコメントしている。施工参加していない末広産業にお金を払うはずはない。さらに中島工務店は杭工事の下請業者3社に、末広産業の関与を確認したが、いずれも「下請として使っていない」との回答を得たという。末広産業が当該工事で受け取った6,250万円は、どこが支払ったものなのか判然としない状況。工事経歴に記された取引自体が、架空のものであった可能性も強まっている。 同社の資金の流れと業務実態について、さらに取材を続ける。
【東城 洋平】
▼関連リンク
・杭打ち「末広産業」に建設業法違反の疑い~九地整「詐欺の可能性も」
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2024年12月20日 09:452024年12月19日 13:002024年12月16日 13:002024年12月4日 12:302024年11月27日 11:302024年11月26日 15:302024年12月13日 18:30
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