環境変化には先手必勝で立ち向かい、太陽光発電のビッグチャンスをうかがう（前）

（株）ボルテック

省エネから「創エネ＋蓄エネ」へ　震災をきっかけに新たなスタイルを提案

　電気工事を手がける（株）キューエイが、太陽光発電事業を独立させるかたちで2010年５月に設立した（株）ボルテック。掲げる企業理念では「人為的気候変動による地球温暖化を防ぐ為に貢献する」と、事業目的を明確に表す。まずはその良さを自社からとばかりに、オフィスの天井や社屋脇の斜面にソーラーパネルを取り付けて自家発電し、自らCO2削減、省エネにつなげる徹底ぶりだ。
　また外壁には各種装置やモジュールの見本を設置し、発電の仕組みが一目瞭然でわかるようにしている。顧客に対して、セールストークで何となく理解してもらうのではなく、社屋ごと広告媒体にして原理をきちんと説明して信頼性を上げていこうという思いが伝わってくる。

　「産業用の太陽光発電は平成29年３月末までは50％即時償却できますので、優遇税制がある間は積極的にお勧めしていく考えです。 今回の熊本地震でも、熊本県内で約47万6千戸の停電が起こりました。電力会社から送電される電力をできる限り使わない生活スタイルが今後求められてきます。それは単に使用する電力量を削減する『省エネ』では不十分です。非常時にも十分対応でき、地球環境にも優しい新しい電力供給モデルを提案させていただきます」と、三宅真二社長は環境変化にも動じない。

　燃料電池と太陽電池でエネルギーを創る「創エネ」、必要以上に創ったエネルギーを蓄電池で蓄える「蓄エネ」、家の電力を集中管理する「HEMS」、「新電力」を組み合わせることで、電力会社からの電力をできる限り使わない新しい生活スタイルを実現することができる。

　また、停電などの非常時にも電気を供給し続けられることなど、震災を機に誰もがその大切さを実感した「電気のある安心の暮らし」を継続することができるという点も併せて提案していくという。

　太陽光発電を推奨していくなかで、同社は付加価値とメリットの合わせ技で、営業展開を有利に進めようとしている。企業理念に掲げる温暖化阻止には、エネルギーを自らつくり、自らで消費し、環境に負担をかけないとの強い意思を感じる。それにリアリティを持たせるために、住宅用にも積極的に取り組んでいくということだ。

施工会社だからこそ顧客とのコミュニケーションを重視

　ボルテックはいち早くISO9001認証を取得している。品質管理を徹底し、常に改善を怠らないためである。
　太陽光発電ビジネスのライフサイクルは、20年という長期にわたり、建設・施工や運転、現状復帰とさまざまな局面で不具合や欠陥が発生する恐れがある。オーナーにはそうした不安感を与えないようにクオリティの高い工事を行い、関連サービスまできちんと提供する。ISO認証の取得は事業を進めていくうえで、絶対条件との考えからだ。

　「弊社では多種多様な工事を行う上で、チェックする項目がどうしても多くなりますので、しっかり管理していきます。技術者の育成についても、家電事業部で電気の基礎を習得してから、太陽光に異動させて施工技術を学ぶという流れ。もちろん、新人でもメーカーのID、建築、電気の両資格を取得しているのが前提です」。

　同社は自社施工に徹し、技術の高さを全面に押し出している。また、家庭用電気工事がルーツであることから、テレビの位置やアンテナの取り付けなど、必然的にお客さんとのコミュニケーションを重視する社風である。このスタンスは屋外工事が主体の太陽光発電でも変わらず、フェイストゥフェイスの応対を欠かさない。すでに施工実績は5,000件にも達するが、自然災害や偶発的な事故による被害、それらによる顧客の売電収入の減少、利益損失は１件もないという。

　それはあくまで検査基準をクリアした商品しかお客さまに渡さない考えで首尾一貫するからだ。さらに依頼を受けても、すべての仕事を請け負うわけではなく、施工に際しても必ず現地調査から行い、基準を満たさずにOKが出ない時は、工事にかからないと言い切る。卓越した技術をベースにした施工会社として、営業よりも完璧な商品を追求する姿勢が同社の存在価値を際立たせる証左と言える。

（つづく）

＜COMPANY INFORMATION＞
代　表：三宅　真二
所在地：福岡県筑紫野市天拝坂1-9-1
設　立：2010年5月
資本金：2,000万円（（株）キューエイを含む）
ＴＥＬ：092-929-4324
ＵＲＬ：http://0120201194.com

＜プロフィール＞
三宅　真二
1970年生まれ。過去には器械体操、バスケットボール、スノーボード等をたしなむ。趣味は仕事で、好きな言葉・座右の銘は「有言実行」。