新社長の公約!在任中の売上倍増 創業60年の強みを活かし攻めていく(前)
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(株)山電
社長要請を受託したのは仕事を投げ出さない信念から
2015年8月で創業60周年を迎えた電材販売の(株)山電。地元八幡を地盤に少しずつ販売網を拡大し、迅速な納品態勢ときめ細かなフォローで、取引先を電気工事業のほか、地場大手企業、官公庁にまでに拡大している。
今年2月、就任した渡邊貴弘社長は、91年の入社で営業畑一筋。昇格は部長就任からわずか2年目という異例の早さだが、「就任要請を断れば仕事を投げ出す感じ。失敗を恐れず挑戦しよう」と快諾した。現場からの叩き上げでもあり、また前社長の考えに近く、社内の期待も一心に集めている。
同社は昨年上期の5カ月間は、業績が振るわず、低迷していたが下期になって業績が回復し、3月は創業以来最高の収益を上げ、なんとか目標達成が見えてきた。こうした追い風もあって、渡邊社長は自らの方針を出しやすい環境にいる。
「弊社は不備のない書類作成や納期厳守を貫く姿勢から、『山電に任せていれば、間違いない』と、電気工事店のみならず官公庁からも高い信頼を得てきました。それは弊社の強みでもあるので、私は攻めていこうと考えています。併せて、所長級の人材が育ってきているので、社長在任期間には売上の倍増を目指すという目標を掲げました」と、渡邊社長は就任を業績拡大の好機と見ている。取扱商品は電気工事材料、太陽光発電設備、空調器材から、家電品、防災、OA機器までと多岐にわたる。そのため、業績拡大戦略は営業エリアの拡大よりも足下商圏の深耕に重点を置く。地場北九州に加えて隣接する筑豊地区や京築地区での顧客の掘り起こしだ。
消耗戦となる価格競争には走らず、「山電に任せていれば…」を梃に顧客側から指名、紹介される存在として、注文があればどこでも納品。また、「EMショップ」は、身近な電気機器店として北九州全域に店舗網を張り巡らせる構想もあるという。社員ができることは一任し、能力を開発しながら組織固め
同社では以前から全員が日誌を書く取決めになっており、渡邊社長も毎日朝7時には出勤し1時間程度をかけて、30数名全員の日誌に目を通している。
もちろん、役職は社長だが、現役の営業マンでもある。過去25年に渡って、事業の柱である顧客と商品と、それを結ぶチャンネルを構築するために駆け回って来た。売上の波をいかに減らすかについても、いろんな顧客を持ち、客数を増やし対応した。そうした経験と実績から、自ら先頭に立って営業の模範たろうとしている。「私は工場から個人まで広くお付き合いしてきました。そのお客さんから『山電は良いから、取引してみらんね』と他社を紹介してもらえば、すんなり増えていくはずです。若い営業マンにはお客さんに「何かないですか」ではダメだよと。新製品はいっぱい出ているのだから何かアイテムを持っていき、きちんとご説明して、その流れで仕事をもらってきなさいと、言っています」。
人材育成の基本路線は、生え抜きの社員が成長できるようにこれまでの体制を踏襲した。今期5月14日、15日に開催する「まごころフェア」は、その運営委員長には自らがチャンスをいただいたように36歳の若手を起用しすべてを一任。社員旅行や餅つき、花見などの社内行事は、この機会に企画から実施までを社員に振り分けた。
また、中途入社組には実力が発揮できれば、頑張ってもらい役職を与えて同社の理念を植え付け、戦力にしていく考えだ。新規採用社員については、「指示して行動させて成果を確認させる」。現場の課長にはそこまで踏み込まないと一人前に育てられないと口酸っぱく言っているという。
渡邊社長は育ってきた人材を活用することでさらなる能力を開発し、組織全体をより強固にすべく邁進する。(つづく)
<COMPANY INFORMATION>
代 表:竹下 博
所在地:北九州市八幡西区割子川2-15-34
設 立:1961年5月
資本金:2,800万円
TEL:093-631-9440
URL:http://www.kitakyu-yamaden.co.jp<プロフィール>
渡邊 貴弘
1969年5月、福岡県古賀市出身。1991年4月、(株)山電に入社。営業畑を歩み、2014年4月に営業部長、15年4月に常務執行役に就任。竹下博前社長にリーダーとしての手腕を買われ、16年2月に取締役社長に抜擢される。関連キーワード
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