労基法違反で書類送検された大成印刷(株) 業界内の評判は?(前)
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労働基準法違反の容疑で11月22日に書類送検された大成印刷(株)の詳細は既報の『労基法違反で書類送検、時代錯誤な経営が危機を招く~大成印刷(株)(前)・(後)』の通りである。1カ月あたりの残業は最大で1日に14時間、1カ月で158時間にも及び、男性社員1名が体調を崩し退職を余儀なくされた今回の事件。いまだ「残業が当たり前」というイメージがぬぐい切れない印刷業界だが、同業者は今回の件にどのような感想を抱いたのか。
ワンマン経営の大成印刷
驚いたことに、同業者内では「仕方ない」という声が多かった。印刷業界にとって残業は宿命。自社でも現実問題として残業を行っている以上、「悪い」と強く言い切ることはできない関係者が多いようだった。
ある業者は24時間を二交代制で回しているという。日勤が8時間、夜勤が8時間、残りの8時間は交代の際に残業で「つなぐ」。大成印刷のような月158時間労働は異常ではあるが、100時間程度ならば印刷業界ならザラにあるという。むしろ、大成印刷は3交代制をとっているだけ体制が整っているほうなのでは、という意見すら聞かれた。しかし、今回発覚したように体制があってもそれが守られない限り意味がない。
また、同業者への取材で一番多く聞かれたのが「ワンマン」「高圧的」といった清家会長の人柄に対する声だ。
「今はどうだかわからないが、昔は現場で怒鳴っていることもあった。納期に何とか間に合わせようとして従業員に負荷をかけていたのではないか」。
「あくまでイメージだが、上から押し付ける感じがした。あれでは従業員たちも意見を言いにくいだろうと思う」。現在も、その風習が続いているかは定かではないが、昔は清家会長のワンマン経営が行われていたと口をそろえる。仕事をこなすことだけを考え、従業員の労働環境を顧みなかった結果が、このような事態につながった可能性がある。
「古き悪しき」時代の風習が、いまだに蔓延している印刷業界だが、最近では少しずつ改善の兆しが見えてきたという。たとえば従業員のストレスチェック。社員の精神状態が正常に保たれているかを定期的に検査し、労働時間とのバランスを審査する制度を導入する企業も出てきた。
大成印刷には地場の大手老舗業者として、今後の印刷業界を引率するような徹底的な企業改造を行っていただきたいものだ。(つづく)
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