労基法違反で書類送検された大成印刷(株) 業界内の評判は?(後)
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労働基準法違反の容疑で11月22日に書類送検された大成印刷(株)(詳細は既報の労基法違反で書類送検、時代錯誤な経営が危機を招く~大成印刷(株)(前)・(後)』)について、同業界内で聞き取り調査を行った。聞こえてきたのはワンマン経営と、薄利多売の噂。大成印刷の今回の事件はなるべくしてなったものだという見方を持つ同業者もいた。
薄利多売のしわ寄せ
「大成印刷は自治体で入札が行われる際、他社に比べかなり低額な予算設定で仕事をとっているという話を聞いたことがある。ただ、いくら大口の仕事が入っても利益が出なければどうしようもない。利益を出すために仕事を限界まで抱え込み、従業員にしわ寄せが行ってしまうというのは小さな印刷会社ではよくあることだ。総合印刷会社として、さまざまな工程を自社ですべてやっていたことも、長時間の労働に繋がっていたのではないか。斜陽産業だからこそ大口の仕事に固執する気持ちはわかるが、今回のようなことが起こったら身もふたもない」
以上は、印刷業界関係者からの話だ。もしこの話が事実ならば、薄利で仕事を大量に抱え込む経営環境が今回の事態を招いたといっても過言ではない。今回、労働基準法違反に至った背景には「繁忙期になると3交代制が2交代制になっていた」という事実がある。当たり前だが、仕事を抱えれば抱えるほど人手が必要となってくる。しかし、利益を得るためには人件費を掛けるわけにもいかず、結果、今いる人員に負担を強いることになるのは誰にでもわかることだろう。
ましてや、大成印刷は地場印刷業者のなかでは規模も大きく、歴史もある。そのような会社が薄利多売によって経営を保っているような状況で良いのか。
大成印刷は今回の件に対して「今後はこのようなことがないように人員を増やし、現在行っている3交代制をさらに徹底させる。また、労働環境についての情報公開も行っていくつもりだ」とコメントしているが、専門知識の必要な職種である以上、すぐに人員を増やして対処できるような問題でもない。何より、人員を増やしたところで企業体質自体が変わらなければまた同じことを繰り返すことになるだろう。
大成印刷は今回の件を機に、労働環境の改善を目指すとともに、根本的な企業体質を変えていく必要があるのではないだろうか。(了)
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