2024年11月26日( 火 )

結婚式場「サクラディア」、実質経営者が語った「失踪」の理由

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 福岡市中央区桜坂の結婚式場「サクラディア」について、第一報を報じた翌日、同式場を運営する「PROinnovations(プロイノベーションズ)(株)」の実質経営者である渡邉洋平氏から連絡が入った。渡邉氏は事情を説明したいとして、3月16日にデータ・マックスに来社。対面取材を敢行した。

 取材班と渡邉氏とのやりとりを以下にまとめる。


 ――連絡が取りづらくなっていたのはなぜか。

 渡邉 2月25日の挙式の後、翌26日から約2週間連絡を絶ったのは、会社を乗っ取ろうとする動きを察知したため。企てていると思われるのは2月に入社した従業員A。本人を直接問い詰めてはいないが、「会社の金を私が持ち出し、一旦会社を清算する」と取引先に話しているとの情報が入った。そのため、「信用毀損罪」で警察に相談している。警察がそんな事実があったのか、取引先1軒1軒に確認してくれている。

 ――取引先への支払い遅延は間違いないか。

 渡邉 遅れることはあったが、未払いがこれだけはっきりわかったのは11月末だった。すべてスケジュールを組んで支払い計画を立てていた。しかし従業員Aが突然、未払い分を一気に払うと取引先に告げていた。そんなことをされたら、ウチはパンクしてしまう。個別に返済契約を交わして、ようやくお支払いするタイミングで、連絡を絶ったので、このような状況になっている。

 家賃の滞納については、昨年末まで1カ月も遅れたことはなかった。今年の1月に150万のうちの50万を入れて、残りを支払うタイミングで「乗っ取り」の動きに気づき、大家さんとも連絡を絶った。従業員への給与未払いはない。2度遅れたことがあったが、支給している。

 ――乗っ取りが仮に事実だったとして、取引先との連絡を絶った理由は?

 渡邉 本当は連絡を取りたかった。しかし、取引先に連絡するとすぐに情報がAに伝わってしまう。うかつに連絡できなかった。本当に信用できる取引先としか、連絡を取っていない。

 ――Aさんは入社したばかりだが、そんな決定権を与えていたのか。

 渡邉 支配人的な役割をさせていたが、実は雇用契約は正式には交わしていない。初出社が2月15日で、それ以降タイミングが合わずに、雇用契約書を交わせていない。Aは外回りの営業なので、会社で会うタイミングがなかった。さらにAは近くの式場に顧客を流していることもわかった。Aが顧客リストをもちこもうとしていた。直前に気づいて、死守することができた。Aに電話を取られるのを防ぐため、会場の電話を止めている。止める前に、すべてのお客に電話を止める旨をお伝えした。

 ――取引先への説明責任はあると思うが。

 渡邉 12月末にほとんどの取引先を呼んだ。謝罪し、支払いの猶予などで協力を要請した。1月に入り、支払いのスケジュールを通知し、その際業績も公表した。

 ――3月19日の婚礼はどうするのか。

 渡邉 予定通り行う。お伝えしたいのは、これまでは「リニューアル」中だったということ。このあと4月以降も婚礼は入っており、役員を2名追加して体制を整えて、お客様を迎えたい。

 ――初動でAさんを問い詰めなかったことが、今の流れを作っているのでは?

 渡邉 それは反省したい。


 渡邉氏の主張では、従業員Aの乗っ取りを防ぐために、自ら姿を消したということだった。取引先や従業員との連絡を絶てば、混乱を招くのは当然だが、「しかたなかった」という判断だったのだろうか。

 この直接取材の前に、複数の関係者より事情を聞いていたが、渡邉氏と話とは大きく食い違っている。次項では、関係者の話をもとに、事実確認をしていこう。

【東城 洋平】

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