米軍基地使用拒否権のない唯一の親米国・日本──国防上大問題なのに無頓着の小泉大臣
先の衆院選で議席を大幅に減らしたれいわ新選組だが、対米従属の高市政権(首相)との対決姿勢は鮮明で、国会論戦をリードする役割を担おうとしている。特別国会初日の2月18日の池袋駅前街宣では、同党の伊勢崎賢治参院議員(東京外語大・元教授)が「アメリカがイランに空爆をした昨年も今も、メディアが報道しない事実が1つだけある」と切り出し、次のように訴えたのだ。
「なぜ昨年のイランへの空爆のときにアメリカはステルス爆撃機をアメリカから発進させた。今回もイランに圧力をかけるために、わざわざ空母を(アメリカから)送っている。でも、イランの目と鼻の先にあるカタールとかサウジアラビアとかUAEだとか、イランと敵対している(親米)国には日本と同じような米軍基地がある。なぜ、それを使わないのか。わざわざ(アメリカから)空母を送らないといけないのはなぜか。そういう国々は親米で日本と同じように米軍を置いているが、アメリカがイランを攻撃するときにはその基地を使わせない。領空も領海も使わせないことをあらかじめ宣言している。(米軍基地使用)拒否権です。
なぜ拒否権かというと、アメリカがそういう国々の米軍基地を使って(イランを)攻撃したら報復するのはどこですか。アメリカ本土ですか。目の前の国に決まっているでしょう。そして(米軍基地のある)国が犠牲になるわけです。だから国民を守るための主権を主張しているだけです。これが親米国の普通のことなのです。この拒否権が日本だけない。これは国防の問題なのです」
日本が米軍基地使用拒否権のない唯一の親米国であると強調した伊勢崎氏は、国防上の大問題だとして、次のように続けた。
「『中国』『中国』と言いますが、脅威ではないとは言いません。ロシアだって脅威ではないとは言いません。でも国防はそれだけか。アメリカに唯一拒否権をいえない親米国としてのリスクをどう考えるのか。この国の政治はそれを考えない。メディアもです。それを正常化する」
伊勢崎氏は基地使用拒否権をアメリカにいえることが国防上極めて重要と訴えたわけだが、この問題提起を受けて私は2月24日、小泉進次郎・防衛大臣会見で「親米国で(基地使用)拒否権をもたないのは日本だけ」と指摘したうえで、次のような質問をした。
「アメリカがイランを昨年空爆したときにも、アメリカ本土から爆撃機が発進している。今回も、空母を派遣して攻撃をするなどと言っているが、イラン周辺に親米国があって米軍基地があるにも関わらず、アメリカが使用できない。報復攻撃を受けて親米国が被害を受けるからということだが、親米国なのに(アメリカに対して)基地使用拒否権をもたないのは日本だけだ。野党の国会議員も問題視しているが、大臣の見解を聞きたい」
これに小泉大臣は、こう答えた。
「地域の平和と安定のために、日米同盟が機能するように、日頃から運用についても日々調整やコミュニケーションを図って抑止力を強化していく。こういった不断の取り組みは、これからも引き続き強化していきたいと思う。特段、横田さん指摘のなかだと、仮定の何かの局面に対しての想定を前提としているとしたら、仮定の前提を置いたうえでの質問への答えは私としては差し控える」
小泉大臣との認識が食い違っていたので、次のような再質問をした。
「仮定の質問ではなくて、現実問題としてアメリカが親米国でも米軍基地を使用できない。(イラン周辺の)ほかの国は拒否権をもっている、それに対して日本は拒否権がない現状についておかしいと思わないのかと聞いている。要は米国が始めた戦争で、日本国内の(米軍)基地が使用されることで報復攻撃を受ける。この国民の命を脅かすような状況について、まったく問題視してないのかどうかを聞いている」
この質問にも小泉大臣は「これは在日米軍の基地の運用の在り方や、また協力の在り方については日頃から当局間での議論、そして検討などを進めているので、そういったなかで適切な在り方をかたちとしていくと、そういったことだと思っている」と曖昧な回答に終始した。そこで、「米軍基地の使用拒否権は、これからももたなくて良いという認識と理解していいわけですね」と確認をしたところ、小泉大臣はこう反論した。
「実際に、国民の皆さまの理解を得られるような基地の運用の在り方、こういったことは日頃から地域との合意形成や理解の醸成などを含めて、双方で努力をしていることでもある。何かことが起きた時という、そういった横田さんの質問に対しては、一定の今の安全保障の情勢などを踏まえたうえでの仮定の質問だとしたら、答えることは控える」
ここで小泉大臣は再び「仮定の質問」と反論。これ以上は平行線のやりとりになると思って「最後、仮定の質問じゃなくて、親米国のなかで日本が特殊だと強調して終わりたいと思う」と言って質疑応答を終わろうとしたが、小泉大臣は次のような再反論をしてきた。
「親米国のなかで日本が特殊だということについて、まるで否定的なことを言いますが、むしろ私とヘグセス長官も含めて、同盟国のなかで同じ価値を共有して、そして日本に対して何かすべきだというふうにいうべきことではない、いう必要がないと、こういったかたちで防衛力を整備していくということについて、全幅の信頼を置きながらやっているという対応も、一方で日本とのアメリカとの関係というのは、それだけ密なことであるという前向きな評価もあるから、そこを言い切って終わらないでほしいというふうに思う」
結局、十分に噛み合わないまま質疑応答は終了したが、この会見での小泉大臣発言と冒頭で紹介した伊勢崎氏の問題提起を並べてみれば、どちらが説得力を有するのかは一目瞭然だろう。
高市首相(政権)はトランプ大統領の隣でピョンピョンと飛び跳ねることは得意だが、日本がアメリカに対して基地使用拒否権をもてるようにしようとする姿勢は皆無に等しい。日本国民の命が脅かされているに等しい国防上の大問題について、特別国会でどんな論戦が交わされるのか注目される。
【ジャーナリスト/横田一】








