決して見過ごせない!久留米市のずさんな建築確認(7)~原告の置かれた窮状
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課税される資産価値のないマンション
原告のAさんは、幼い子どものことを考えると、耐震強度が不足していることが明らかとなった(構造検証でも明らかになったが、「住んでいると実感でわかる」という)マンションに居住することが不安で、別の賃貸マンションを借りている。自分が住んでいた「新生マンション花畑西」の部屋は賃貸にしていたが、耐震強度不足が公表され、それに対し、久留米市が安全性を証明しないため、賃借人が退去してしまい、以後、空き家状態が続いている。家賃収入が途絶えた今、住宅ローンの返済と、現在住んでいる賃貸マンションの家賃の二重払いが重くのしかかっている。
「空き家になっている部屋に風を通すために、週に2~3回帰ってきます。その度に、この部屋での生活を思い出します。フローリングの傷ひとつにも思い出があります。できることなら、また、ここに戻り、このマンションの人たちとも仲良く暮らしたいと思っています。しかし、熊本地震の後、いたるところに発生した新たなヒビ割れを見ると、私はともかく、子供どもを住まわせることは躊躇してしまいます。私たちは、久留米市に難しいことを望んでいる訳ではありません。安心して普通に生活できれば、何の文句もありません。このマンションを設計通り(偽装されていない)の耐震強度にしてくれればいいのです。現在の不具合だらけのマンションが、間違いなく安全であることを、久留米市が客観的に証明してくれればいいのです。行政である久留米市が証明してくれれば、誰もが信じてくれますよね。とにかく、久留米市にお願いしたいことは、自分がローンを払い続けているマンションに帰れる状態にして欲しいということです」(Aさん)。
一方、原告のBさんは、次のように語った。
「私は、資産価値のないマンションに対して、平然と固定資産税が課税されることに疑問を感じ、個人で裁判を起こしました。納税は市民としての義務ですから、納税は当然だと思っています。しかし、このマンションの耐震強度は35%であり、震度6強の地震で、倒壊の恐れがあると言われています。こんなマンションを買う人がいるでしょうか。つまり、売れないイコール資産価値のないマンションなのです。しかし、久留米市は健全な建物としての資産価値があることを前提に課税しています。この歪んだ状態を糺すために、久留米市に相談に行きました。
しかし、納税課は、『マンションの耐震強度は建築指導課の担当なので、納税課は関係ない。決められた固定資産税を払ってもらうだけ。耐震強度については建築指導課と話してください』と、はね付けられました。建築指導課に相談に行くと、『税金のことは納税課に言ってください』とたらい回しにされました。それで、仕方なく提訴しましたが、裁判所の判断は、100%行政寄りの判断であり、行政裁判の壁の厚さを痛感しました。他の住民が、銀行に、住宅ローンの借り換えの相談に行かれたそうですが、『耐震強度のないマンションにローンを組むことはできません』と断られたそうです。一番お金にシビアな銀行が、耐震強度がなく資産価値がゼロと断定しているマンションに、平然と固定資産税を課税し続ける久留米市は、悪魔としか言いようがありません。偽装された設計に対し建築確認を認めたのは、他でもない久留米市だと思うと、怒りを抑えることができません」。
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