顧客の海外進出サポートから始まった、ハワイ市場の半分を制したパッケージング(中)
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福岡パッケージ(株) 代表取締役社長 庄嶋 毅 氏
海外展開の難しさとハワイでの存在感
プラスチック製包装紙が使用禁止となれば、想定していた市場戦略が根底から覆ってしまう。ハワイでのパッケージングを巡る新たな動きを受け、同社は地場パッケージ業者の買収を一旦中止した。
その後、ハワイの州法でプラスチック製の包装紙(日本でいうとレジでもらえるポリ袋など)の使用が禁止された。この法律は「Plastic Bag Ban(プラスチック袋禁止法)」として制定され、最初はマウイ島で適用がスタート。次いでカウアイ島、その他のハワイ諸島へと広がっていき、2015年に最後となるオアフ島で施行された。これにより、ハワイでは代替品として紙袋やエコバッグが積極的に販売されるようになり、それらの利用率が高まっていく。州単位でプラスチック製の包装紙を禁止したのは初めてのことだった。違反した店舗には、1日100ドルの罰金、最高で1,000ドルの罰金が課される。
海に投棄されたポリ袋は自然分解されることがなく、魚や亀などの生物がのどに詰まらせたり、手足を傷つけたりする可能性がある。処理を管理できないポリ袋による環境破壊を防ぐ目的で制定されたプラスチック製包装紙禁止法。反対する人はほとんどいないだろう。とはいえ、いきなりプラスチック製包装紙をゼロにというのは難しい。観光客が年間約800万人(日本人は約10万人)訪れるハワイでは、自国民以外への周知徹底にも相応の時間を要する。そうした状況を鑑み、例外が設けられることになった。
「食品『容器』に関しては従来通り使用が許可されました。この決定を受け、私たちは再度パッケージ業者の売買契約に取り組み始めたのです」(庄嶋代表)。
法律の改正により、一度は暗礁に乗り上げたハワイ進出だったが、プラスチック容器の使用許可が突破口となった。
「売買契約を無事締結してからは、弊社から海外事業部長として人員を1名現地へ派遣しています。弊社が事業継承する前から利益をきっちり出されていた会社でしたので、スムーズに事業を展開させることができました。ハワイでは弁当、寿司、ラーメン、丼ぶり関係などの容器を多く取り扱っています。アメリカでの売上高は日本円で約3億円です。目標として、売上高5億円の突破を目指しています」(庄嶋代表)。
同社の海外事業における売上の内訳は、ハワイ市場で約2億円、LA市場で約1億円。現状、ハワイ本社LA支店といえる状態とのことだが、同社は今後これを逆転させたいと意気込む。
「LA本社ハワイ支店とし、アメリカ本土市場で販売網を拡大させていきたいというのが私たちの意向です。ハワイ市場はアメリカ本土に比べれば限られたものです。実際、ハワイ市場に進出して間もないですが、すでにパッケージングシェアの約半分を担っています。『日本製のお弁当容器』といったブランド効果もあると思われます」(庄嶋代表)。
顧客の相談に応えているうちに自社の海外進出の糸口を掴んだ同社。ハワイ市場におけるシェアの半分を獲得し、LAを拠点にアメリカ本土での事業拡大を目指すなど、その勢いはとどまることを知らない。しかし、前述した法改正を含め、海外での事業展開は決して容易なものではない。
(つづく)
【代 源太朗】<COMPANY INFORMATION>
代 表:庄嶋 毅
所在地:福岡県糟屋郡久山町久原工業団地2843
設 立:2000年2月
資本金:1,000万円
売上高:(16/12)14億5,676万円<プロフィール>
庄嶋 毅(しょうじま・つよし)
1968年12月、福岡県生まれ。福岡大学卒。91年4月、地場広告代理店の(株)三広に入社後、93年にフクパグループに入社。2000年2月、父・厚生氏より事業部を買い取り、福岡パッケージ(株)を設立し、現在に至る。趣味はテニス、ゴルフ。関連キーワード
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