「設計図はどこ?」確認できない資産価値のリスク~欠陥マンション構造研究会
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崩壊している行政と大企業の性善説
久留米市の「新生マンション花畑西」の所有者、住人らが施工会社である鹿島建設への損害賠償などを求める欠陥マンション裁判が、いよいよ大詰めを迎えた。原告側が主張する同マンションの欠陥については、鹿島建設自身が下請の地場業者を訴えた裁判のなかで指摘している。第三次耐震診断でも、耐震性の不足から「倒壊のおそれ」があると立証された同マンションは、最悪の場合には住人のみならず、近隣住民をも巻き込む『殺人マンション』となる。危険な建物に資産価値がないことは明らかであるが、同マンション住人は固定資産税を納めており、住宅ローンを払っている人も少なくはない。
しかしながら、同マンションの話を「対岸の火事」と断言できる人がどれほどいるだろうか。そう断言するには、自分が所有する不動産の耐震性や構造設計の実態を把握しておかなければならない。「今回の裁判で証明されたように大手企業の設計や施工だからといって安心はできません。少なくとも2007年以前に建設された鉄骨鉄筋コンクリート造12階建て以上のマンションでは、『新生マンション花畑西』と同様の耐震性の欠陥がある可能性が高い」と、久留米市のマンション裁判で原告側の技術アドバイザーを務める構造設計一級建築士・仲盛昭二氏(協同組合建築構造調査機構代表理事)は警鐘を鳴らす。(詳細はコチラ)
裁判のなかで「設計図通りに建てただけ」とうそぶく鹿島建設。そこには、一流企業としてあるべきコンプライアンス遵守の姿勢は微塵も感じられない。欠陥だらけのマンションに建築確認を行った久留米市(行政)もまた、自らの非を認めようとしない。いざとなれば、保身を最優先する大企業と行政。性善説はすでに崩壊している。「新生マンション花畑西」の事例から導き出されるのは、「自分の身(資産)を守るのは自分しかいない」という教訓である。
建物設計図を出し渋る管理会社に注意!
「新生マンション花畑西」以外にも欠陥マンション問題が断続的にクローズアップされ、また、東日本大震災、熊本地震などで建物の大規模な被害が発生している昨今、以前に比べて格段に建物の耐震性への関心が高まっている。それとともに、マンション管理に関する問題も浮上してきた。
「一般的に、管理組合の規約には、閲覧に関する規定があり、マンションの建物設計図や管理組合の総会議事録は、区分所有者が自由に閲覧できるように保管しておかなければなりません。しかし、管理会社に任せきりで、保管場所すら表示されていないマンションも少なくはないのです」とは、(一社)長崎県マンション管理士会の田代圭介代表理事。設計図や議事録の閲覧を希望する所有者に対し、管理会社が渋るケースもあるという。築年数が経ったマンションでは、設計図が朽ちて読めなかったり、紛失していたりする事例も・・・。見せるのが当たり前の設計図を所有者に見せないということは“何らかの問題”が発生していると考えるべきだろう。
欠陥マンション構造研究会では、建築確認通知書(設計図面と構造計算書も含む)を1時間程度(一部欠落があれば数日)でチェックする無料相談を受け付けている。前出の設計図・議事録の閲覧や保管など、管理組合の運営に関する相談も随時受付中。自分の資産の本当の価値を確かめるのは自分次第。決して他人任せではいけない。
【山下 康太】
<お問い合せ>
欠陥マンション構造研究会 DM事務局(担当:山下)
TEL:092-262-3388/FAX:092-262-3389
E-Mail:yamashita-k@data-max.co.jp関連キーワード
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