2024年11月05日( 火 )

久留米経済人のホンネ「本当は本村会頭に引退してほしい」(後)

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久留米商工会議所 会頭 本村 康人 氏

業者選定に便宜図る?!全ては建設業のためか

 商工会議所の会頭職は名誉職であり、本来は経済的に余裕のある企業経営者しか就くことができないのは暗黙の了解となっている。「会頭は、利益を出している企業が地域に還元する立場であるべきで、赤字企業の経営者が就くのは理屈に合わない。会頭という名誉職に就くためのいわゆる『威張り賃』を、自分の企業から捻出するのは当たり前だ」という声は依然として根強い。

 そのようななか、今回の取材で本村会頭が久留米シティプラザの建設にあたり、施工業者選定に関わっていたという話も浮上した。公共工事において、商工会議所会頭という公職に就くものが業者選定に便宜を図っていたのが事実ならば大問題である。ただし現時点でそれを裏付ける事実までは見当たらない。

 ある建設会社の社長は「前の会頭は大型の公共工事の仕事を回してくれたことは1回もないが、本村会頭はそれを考えてくれている」と話す。久留米シティプラザは元請こそ大手スーパーゼネコンが担ったが、下請には地場業者が入った。本村会頭が地場業者に仕事が回るように根回ししたのかはわからない。建設業では潤った企業が多いかもしれないが、関係のない業種の企業にとっては面白い話ではあるまい。あらゆる業種から構成されている商工会議所の議員、会員らにとって、会頭のあっせんで建設業だけが潤うことは公平性に欠けているからだ。久留米商工会議所は年間予算が5億1,800万円(平成28年度)で、1億3,800万円の補助金を受けている公的な団体である。予算の2割以上も血税で賄われているということも決して忘れてはならない。

大手出身の会頭は活動経費自腹

 本村会頭は活動経費を会議所に請求しているというまことしやかな情報が飛び交っている。もちろんそれ自体が悪いことであることは断言できないが、中核市である久留米の代表であるからこそ、周囲からはそれを気にする声が挙がっている。本村氏の前の会頭は筑邦銀行の元頭取である前川博氏。商工会議所に詳しい関係者らの話を総合すると、前川氏は年間2,000万円ほどかかる活動経費を会議所に請求しなかったという。その先代の同行元頭取の三島重人氏も同様だったとのこと。弊社は久留米商工会議所に対して本村会頭ほか歴代会頭の活動経費の処理について問い合わせたが、結果は残念ながら「ノーコメント」だった。久留米よりも規模の小さい筑後商工会議所の玉木康裕会頭(タマホーム(株)社長)は、会頭としての活動経費は自腹で、会議所に請求したことはないとのこと。筑後商工会議所を含む他の商工会議所からは回答が得られたため、疑惑は益々深まるばかり。「公的団体のトップとしてふさわしい資質があるのか」と、疑問視されるのも当然だ。本来ならばこのような状況を変えるべく、会頭の在り方について議員内でも議論すべきなのだが、「おかしい」と思っても口に出せない議員にも問題があるといえる。久留米の経済を活性化するためには、まずは自分たちの「経済の顔」である会頭の存在意義、資質などをしっかり考慮してもよいのではないか。

晩節を汚す前に即刻引退し名誉を保って

 「久留米シティプラザも完成したことだし、3期9年の会頭職を機に勇退すれば良かった。実体が良くわからない会社の所属で会頭を続け、四選したのは晩節を汚しかねない事態であると捉えている。今ならまだ間に合う。即刻勇退して、のどかな老後を過ごしてほしいと心より願っている」と語る人もいる。

 「本村氏は誰よりも久留米のことを考えている人である」という声も依然として根強いのは事実。久留米のために尽力し、それで得た名声と利権はそう簡単に捨てられるものではないのかもしれない。ただし、これからの未来を考えるならば、たとえ任期途中であっても「名誉ある撤退」は逆にその名を上げるのではなかろうか。本村氏の勇気ある選択に期待したい。

(了)
【矢野 寛之】

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