2024年11月05日( 火 )

歪んだ教育方針と補助金不正受給 世間を騒がせた学校法人の末路(後)

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補助金不正受給で前理事長を告訴

瑞穂の國記念小學院

 民事再生法の適用を申請した同法人だが、これで一連の問題に終止符が打たれたわけではない。前理事長の籠池康博氏をめぐっては、まだまだ連日のように新たな問題が噴出している状況だ。

 たとえば小学校の建設をめぐっては、同法人は工事費の異なる3種類の契約書を用意。府に対しては、認可を得やすくするために工事費を約7億円とした契約書を提出することで資金面の負担を少なく装った一方で、国交省には工事費を約23億円とした契約書を、空港運営会社「関西エアポート」には工事費を約15億円とした契約書をそれぞれ提出し、補助金や助成金を不正受給。これにより3月29日、大阪地検特捜部に補助金適正化法違反容疑で告発された。

 また、塚本幼稚園で教職員の数などを水増しして補助金を騙し取ったとして、大阪府は5月19日付で前理事長の籠池康博氏を詐欺罪で大阪地検特捜部に告訴。府によれば、塚本幼稚園では専従の教職員や障がいを抱える園児の人数に応じて支払われる補助金について、いずれも人数を水増しして申請することで、計約6,100万円を騙し取ったとされている。さらには塚本幼稚園の元PTA会長も、障がいがある子どもを受け入れた際の補助金を同園が大阪府と大阪市から不正に受けていたとして、詐欺などの疑いで大阪地検に告発状を送っている。
 一方、同法人が運営する「高等森友学園保育園」では、保育士の数が基準を満たさないことから、大阪市が事業停止命令を検討。5月10日までの改善命令の期限内に保育士不足が解消されなかったことから、今後、専門家による審議会を経たうえで、7月1日付で命令を出す方針とされている。

 このように、たとえ再生計画案が認められ、民事再生法による再建が始まったとしても、一連の問題から、今後も負のイメージが付いて回ることは避けられない。森友学園創立者の森友寛氏は幼児教育に尽力し、藍綬褒章や旭日章を受章するほどの人物だったそうだが、創立者が死去し、娘婿である前理事長・籠池康博氏の代になってから、森友学園の歪みは徐々に顕著になっていった。一連の不正問題で明るみになったように、もはや籠池康博氏の自己顕示欲や虚栄心を満たすことを目的とした学校法人へと成り下がってしまったように思えてならない。同法人の前途は、非常に険しいと言わざるを得ないだろう。

(了)
【坂田 憲治】

<INFORMATION>
理事長:籠池 千浪
所在地:大阪市淀川区塚本1-6-25
設 立:1971年3月
資産総額:8億7,984万792円
売上高:(16/3)5億5,620万円

 
(前)

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