ファウンドリ市場に半導体大手が続々加勢(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
半導体は、「産業のコメ」と呼ばれていることでもわかるように、自動車やパソコン、家電、携帯電話など、多くの製品にとってなくてはならないものだ。しかし、半導体産業は関連産業の成長とともに需要の変化も激しく、景気に敏感であることも特徴の1つであろう。
これまで、パソコンの成長とともに成長してきた半導体産業は、パソコンの需要がピークを過ぎたことで、今後は大きな成長は見込めないと思われていた。ところが、自動運転自動車、IoT(モノのインターネット)、人工知能など、半導体の大きな需要が予想される新たな技術が次々と登場し、半導体産業はもう一度活気を帯びてきている。
半導体は大きく分けると、メモリと非メモリとに分けることができる。メモリはどちらかというと、少品種多量生産が多く、スケールメリットがものをいう世界である。メモリの分野での世界王者は、サムスン電子である。
非メモリは、電子製品の頭脳に当たるCPUなどがこれにあたる。携帯電話のCPUに当たるアプリケーションプロセッサ(AP)も非メモリである。
今後、すべての機器がインターネットにつながり、機器同士がやり取りするためには、半導体はもっと安くて、消費電力の低いものが開発される必要がある。それを実現するには、設計にも高度な技術が要求されるし、製造にも高額の設備と高い工程技術が求められる。半導体をつくるためには、製品を設計したうえで、その後にそれを製造することになるが、非メモリの場合には多品種少量生産が多く、製造に高い技術が要求される。そのため、自社では製品の設計だけを行い、設備投資と設備維持の負担とリスクを回避し、製造自体は製造専業の会社に委託生産するケースが増えている。半導体工場を1つ建設しようとすると、1,500億円程度の巨額の投資が必要になる。半導体産業は装置産業であると同時に、需要の変動により浮き沈みが激しい産業であるため、投資リスクも当然大きくなる。そのような状況なので、半導体会社は設計だけに自社のリソースを集中する「ファブレス」(工場を持たない企業という意味)が一般的になっている。
もう一方で、ファブレスが設計した半導体を製造する「ファウンドリ」(他社が設計した半導体を委託生産してくれる会社)もある。ファブレスの代表的な会社を挙げると、クアルコム(米)、ARM(英)、グラフィックチップの世界王者であるNVIDIA(米)などである。一方のファウンドリの代表格は、台湾のTSMCである。ちなみにサムスン電子は、ファブレスであると同時に、ファウンドリもやっている会社である。
(つづく)
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