2024年11月05日( 火 )

【積水ハウス63億円事件】登記の書面主義が詐欺の温床となる

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 地面師なる詐欺師が跋扈する原因のひとつは、登記システムの「書面主義」にある。
 不動産の買主は、所有者となったことを第三者に対抗するため、所有権移転の登記をする必要があるが、登記申請には売主、買主双方の本人確認書類のほか土地の権利証(登記済証・登記識別情報)を添付しなくてはならず、その多くは行政などが発行する証明書だ。登記を代理して申請する司法書士や申請書類を審査する登記官など、日常的にそれらの証明書に触れるプロでさえも精巧に偽造された書類を見抜くのは至難の業だという。

 今回は、仮登記の本登記の時点で登記官から却下されているが、仮登記自体は完了しており、誰も偽造を見破れなかった。仮に本登記までも完了していた場合、真正な所有者と偽造された申請書類により所有者となった者との争いとなり、地面師により騙された買主だけでなく、本来の所有者までも大きな負担を被ることとなるのだ。

【永上 隼人】

 

関連キーワード

関連記事