高須クリニックに「NO!」を~看過できない、ナチス賛美の妄言
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複数の美容整形外科クリニックを運営する高須クリニック。同クリニックのCMにも登場する高須克弥氏はこれまで、ナチスを賛美する発言をツイッターなどで繰り返してきた。
その発言内容は明確で、迷いのない書きっぷりには「信念」すら感じられる。ホロコーストの否定が禁止されている国もあるなかで日本人のナチズムに対する感性は鈍いため、これまで特段大きな問題になることもないままに高須氏の「信念」が容認されてきた。しかし、高須氏はこのたび、その信念に疑問符がつくような行動をとっている。高須氏がナチスに言及したツイートが英訳されてネット上で拡散し始めたところ、それに慌てたかのように「言い訳」めいたツイートを連発しているのだ。
「日本人には読まれていいが、(英語圏の)外国人に読まれたら困る」ようなことを、高須氏は主張していたのだろうか。当然、ネット上には高須院長の主張に対する非難、反論が相次いでいるが、高須氏はそれらの主張を「訴訟」を匂わせるという卑劣な手段で抑え込もうとしている。
高須氏は基本的に、サービス精神が旺盛なのだろう。育ちの良さゆえに人はよく、性格はお坊ちゃんにありがちな負けず嫌いで思い込みも激しい。顕著な攻撃性は、医療界では異端の美容整形で財をなしたコンプレックスの裏返しか。読者のまわりにもいなかっただだろうか、「明るく、悪気なく」人を差別して傷つける、お金持ちのお坊ちゃまが。「それは差別だ」「そんなことを言ってはいけない」と諭しても、「自分のまわりはそうではなかった」という経験“知”を絶対の尺度として迷いがない。経済的に成功していることも自身の判断への過信を生んだのだろう。高須氏と西原理恵子氏が昨年共著で出版した『ダーリンは70歳 高須帝国の逆襲』は、被差別部落に関する不適切な表現や言葉があるとして、発行元の小学館が絶版・回収措置を取った。高須氏は出版社から該当箇所の修正を求められても、断固として応じなかったという。
著述家の菅野完氏は、高須氏の一連の発言は、「サヨクに対するいやがらせ(ハラスメント)」が目的だと喝破している。要するに「敵の敵は味方」の理屈でナチズムを持ち上げているというのだ。煽るような物言いと旺盛な自己顕示欲にも表れているが、どこまでも幼児的というほかない。
高須氏の主張自体は特に目新しいものではない。歴史的にも学術的にもきちんと否定されてきたものばかりだが、あえて言い募ることで賛同者は増える。高須氏は自身の影響力の大きさを自覚したうえで、一連の発言がいかなる理由で人道上許されないのか、当事者の声を聞くなり歴史に学ぶなりして謝罪するべきだ。フリーメイソンの会員であることを公言されているので、当事者の声を聞くこともさして難しいことではあるまい。
【小山田 浩介】
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