「骨抜き」国連安保理制裁は北朝鮮に間違ったメッセージを送る
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弱腰の対応は、北朝鮮にとっては「外交的勝利」なのではないか。
国連安全保障理事会は日本時間の12日朝、北朝鮮による6回目の核実験に対する制裁決議を全会一致で採択した。
当初アメリカが提案した決議案には石油の全面禁輸、金正恩委員長の対外資産凍結、外国への渡航禁止などの厳しい措置を盛り込まれていた。しかし拒否権を持つ常任理事国である中国とロシアの賛成が得られない可能性があること、北朝鮮がさらに態度を硬化させる可能性があるなどとして、より影響の小さい制裁案へと舵を切った。可決された決議に盛り込まれた主な制裁措置は以下の通り。
・原油の輸出量は過去1年分まで
・石油精製品(ガソリンや軽油など)は年間200万バレルを上限
・繊維製品の輸出を禁止
・新たな労働者派遣の禁止(すでに契約を交わしているものを除く)焦点となっていた石油禁輸が大幅に緩められ、金正恩委員長の個人資産や行動の自由にも踏み込まない制裁案は、北朝鮮が進める核・ミサイル開発に対してほとんど影響をもたらさないといっていいだろう。アメリカが主導した制裁案がこのような「骨抜き」状態でしか可決できなかったことは、北朝鮮からすれば凱歌を上げるほどの「成功」であろう。
結局、この国連安保理制裁決議の採択では、核開発に歯止めをかけるのは難しいことが改めてわかった、ということに過ぎない。9月9日、北朝鮮の建国記念日こそ目立った動きは見せなかったが、「外交的勝利」を挙げた北朝鮮が今後どのような動きをとるか、厳しい監視を続ける必要がある。
【深水 央】
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