海難死亡事故、遺族が危険を放置した地場マリコンを提訴
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博多湾環境整備(株)
争点は「単独乗船」と「歩み板」
福岡市博多区に本社を置く地場マリコン・博多湾環境整備(株)で昨年11月に発生した海難死亡事故をめぐり、亡くなった同社社員・林竜三さんの遺族は19日、業務上の安全配慮義務を怠っていたなどとして、同社に対し、慰謝料や逸失利益など計約1億円の損害賠償を求める訴訟を福岡地裁に提起した。
遺族側が問題視しているのは、全国レベルで作業中の海中転落が決して珍しくないなかで、会社側が林さんを1人で乗船させていたという点。海上保安庁の指針でも単独での乗下船は避け、2人以上が望ましいとされている。また、作業船には、船員労働安全衛生規則(国交省)で、船内外の通行の際に用いなければならないとされる「歩み板」(幅40cm以上)が設置されていなかった。乗下船の際、転落の危険性は高く、また、転落に気づき、救助してくれる人物もいないという状況であった。この『単独乗船』と『歩み板』について、同社の認識が強く問われることになる。
福岡地裁へ訴状を提出したのは、林さんの子どもたち3人。取材に対し、「会社側は、(事故が)まるで父の責任であるかのように言っていたように感じた」(二男(28))、「何をしても父は帰って来ないが、会社には命の尊さを認識してもらいたい」(三男(26))などとコメント。遺族によると、林さんは数年前にも海中に転落したことがあり、以来、体がしびれるなどと異常を訴えることがあった。しかし、クレーン船を操縦できる人が自分以外にいないと無理を押して出勤し、ある日は長時間の労働から、「レバーを握る形で指が固まっていることもあった」という。「なぜ、父は1人で船に乗ったのか。事実関係を明らかにしたい」と、原告代表の長男(31)は語った。
【山下 康太】
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