2024年11月05日( 火 )

大名の不動産売却で見えるオンワードの苦境(6・終)~ファッションからライフスタイル全般へ転換か

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(株)オンワードホールディングス

 資産を売却し自社株購入に充て、株主還元施策に力を注ぐ同社だが、目指す2019年2月期の自己資本利益率5%を実現するためには、本業の利益引き上げが必須となる。急成長を遂げるEC部門は有力な牽引役だが、海外を含む売上高は150億円と全体の5%台に留まる。海外進出を積極的に推進し、全体の約2割に当たる527億円を海外で稼ぎ出すが、17年2月期はヨーロッパ、アジア、アメリカいずれも赤字。今期は黒字回復を見込むが、販売量に見合う利益を確保できていないのが実情だ。

 こうしたなかで、このところ積極的に取り組んでいるのが衣類以外への進出だ。バッグ、宝石販売を強化するほか、16年11月にグルメECサイト「オンワードマルシェ」をオープンした。酒、米、調味料、おかず・つまみ、スイーツ、水・飲料、器・キッチン用品などを扱う。今年2月にヘルスケア・スキンケアの「kokobuy」(イギリス) 買収した。

 「コト」消費も強化しており、バレエ・ダンス用品の「チャコット」ではレッスンスタジオを手がけるほか、08年に買収した雑貨のペット用品「クリエイティブヨーコ」でも家族が長時間滞留する時間消費型店舗の開発を進めている。
 今年4月にギンザシックスに出店したイギリス発のブランド・ジョゼフでは、300㎡の「ジョーズカフェ」を併設した。2年前に開始したオンワードメンバーズは会員150万人を突破し、増え続けている。
 ファッションへの消費者の価値観が激変するなか、同社はライフスタイル全般を手がける企業に変貌して生き残りを図ることになりそうだ。

(了)
【鹿島 譲二】

<COMPANY INFORMATION>
代 表:保元 道宣ほか1名
所在地:東京都中央区日本橋3-10-5
設 立:1947年9月
資本金:300億7,900万円
売上高:(17/2連結)2,449億円

 
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