2024年12月23日( 月 )

産廃処分場を巡る裁判で見えてきた壮絶な騙し合い(4)

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 福岡市博多区金隈にある産廃処分場運営の(株)和幸商会(本社:福岡市博多区、箭内伊和男代表)で起こったサニックス創業メンバー箭内氏による会社の「乗っ取り」は既報の通りだ。取材の過程で判明していたのは、同処分場の不可解な不動産取引だった。そして、今回、同不動産をめぐる裁判を通じて、処分場売却の真相が見えてきた。

浮かび上がる疑惑

 ここまで箭内氏の影が薄いのだが、そもそもこのスキームのきっかけとなる、「儲かる産廃ビジネスがある」と持ちかけたのは、箭内氏だった可能性は十分ある。Y氏の陳述のなかには、「産廃処分場運営ビジネスを2億1,000万円で購入しないか」というO氏のささやきが含まれていた。

 その時の話では、「1カ月に9,000万円の売上、経費は1,000万円ほどで、毎月8,000万円は利益が出る」と説明を受けていたようだ。しかし、実際引き受けてから、1カ月間の売上はたった360万だったという証言もあった。要するにY氏は乗せられたのだ。

 資産のないY氏個人に、2億円もの大金を用意できるわけもない。そこで、O氏から「とりあえず2,000万円で経営を始めていい」と言われ、それをU嶋氏に振り込んだとしている。今思えば、その2,000万円を取るために、仕組まれた話だったとしてもおかしくはなかった。

 この裁判は処分禁止の仮処分を申し立てた3月から始まったが、8月25日に原告都合ですべての請求が取り下げられた。つまり、原告側は「登記されたものについて、認める」ということだ。取り下げに至った経緯については、不明だが、水面下で交渉が進み、まとまったに違いない。

 クリーン金隈の訴えはすべて取り下げられた。しかし、一連の株式の流れから、ある別の疑惑が浮上している。Y氏は日本メンテナンスが持っていた和幸商会の株式を2,000万円、クリーン金隈の株式を500万円で、三神がすべて買い取ったと陳述している。

 ここで、問題となるのが、「和幸商会の株式売却について」である。取材の過程で、和幸商会には、社外に複数名の株主が存在することが分かっていた。また意外なことに「箭内氏は1株も持っていなかったのではないか」と話す関係者もいた。箭内氏以外に、和幸商会の経営に口出しする人物は見当たらない。株式の売却は箭内氏が主導したと推測されるが、この間和幸商会の株式は一旦日本メンテナンスに移り、その後三神に移っている。日本メンテナンスに全株売買したのかは、はっきりしていないが、最終的に三神に全株売却したことはわかっている。つまり、箭内氏が株主の承諾を得ずに、株式を売却したのではないかという疑惑が生じる。

(つづく)
【東城 洋平】

▼関連リンク
・会社を乗っ取った元サニックス創業メンバー(前)~頓挫した廃プラ事業

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