第四銀行と北越銀行の経営統合延期を検証する(5)
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7月25日、ふくおかFGと十八銀行は二回目の延期を発表。無期延期ではあるが事実上は白紙に戻ったことになる。その3カ月後の10月27日、第四銀行と北越銀行は共同で6カ月延期を発表することになったが、公取委が承認できる計数なのだろうか。両グループの長崎県と新潟県におけるシェアを比較検証していくことにしたい。【表1】を見ていただきたい。
この表から見えるもの
◆長崎県について
十八銀行の県内店舗は89支店でシェアは48.4%。親和銀行は76支店でシェアは41.3%。長崎銀行は19支店でシェアは10.3%。十八銀行+親和銀行の店舗シェアは89.7%となる。公取委は、長崎県は離島が多いため「店舗シェア70%以上」を経営統合の一次審査の対象としたようだ。
両行合わせた貸出金シェアは92.7%。預金シェアは95.1%と圧倒的な数字となっている。
また両行合わせた収益では、売上高にあたる経常収益は94.3%。経常利益は97.1%。親会社に帰属する当期純利益は96.7%となっている。公取委は二次審査の結果、すべてが90%を超えているため、独禁法に抵触していると判断し経営統合を認めなかったようだ。◆新潟県について
第四銀行は県内に104支店あり、店舗シェアは48.4%。北越銀行は80支店でシェアは32.5%。大光銀行は62支店でシェアは25.2%。公取委は経営統合がすれば、そのシェアは74.8%となるため、一次審査の対象としたようだ。
両行合わせた経営成績を見ると、貸出金シェアは82.5%。預金シェアは84.4%と、やはり圧倒的な数字となる。
両行合わせた損益も、経常収益89.4%。経常利益は85.0%。当期純利益は85.3%と、いずれも80%台を超えているのがわかる。第四銀行と北越銀行の経営統合について
【表2】は新潟県、【表3】は隣県の山梨県の信用金庫を加えた計数である。地元信用金庫は頑張ってはいるものの、次の金融再編を待つ身である。
上記説明の通り、長崎県内と新潟県内における圧倒的な地銀シェアが目立っており、公取委を説得できる新たに事実はなく、第四銀行と北越銀行に経営統合もふくおかFGと十八銀行と同じ軌跡をたどる可能性が高いと見られる。
人口の減少にともない将来は道州制導入が予想されている。現在第一地銀は64行、第二地銀は41行、信用金庫は264庫ある。金融庁が今取り組むべき課題は、『地銀の垂直合併ではなく、広域合併』であり、『信用金庫の経営統合』を急ぐことではないだろうか。(了)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】※クリックで拡大
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