劇団わらび座公演「ブッダ」、大盛況
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5日、劇団わらび座公演『ブッダ』(主催:(株)データ・マックス)がアクロス福岡シンフォニーホール(福岡市中央区)で開催された。
開場時間をさかのぼること2時間半、12時過ぎから早くも入場を待つ行列ができ始める。先頭に並んだ女性グループに話を聞くと、「わらび座のファンクラブに入っています。主演のブッダ役・戎本みろが大好き!今日は糸島から来ました」とのこと。まだ開場時間までかなりありますよ、と告げたが、「良い席で見たいから、待ちます!」と元気いっぱいだった。
その後も行列は伸び続け、最後尾はアクロスの外にまで達する勢い。平日昼間の公演ながら、多くの人々が観劇のために詰めかけた。
10分前倒しで開場した午後2時20分、アクロス福岡・福岡シンフォニーホールの座席はみるみるうちに埋まっていく。先ほどの女性グループは「良い席で観られます、ありがとう!」と満面の笑顔だ。入場してくる観客の層は杖を突いたお年寄りから未就学児、ベビーカーを押す母親まで幅広い。観衆が今か今かと待ちわびるなか、いよいよ開演時間を迎えた。後に仏教の創始者ブッダとなるシッダールタは、シャカ族の王子。「世の中はなぜ、こんなにも不幸せと争いに満ちているのか」と悩む日々のなか、ついに故国を捨てた。修行の旅の途中に出会った女盗賊ミゲーラ、復讐に生きるタッタ、自らの出自に悩むルリ王子、そして化け物と蔑まれてきたヤタラ……。彼らそれぞれの苦しみに触れ、しかしそこから救い出すことはできないシッダールタ。そしてシッダールタ本人にも、故国の滅亡という恐ろしい事態が迫ってきた……。
人々のすさまじい苦しみに圧倒されながら、なにをなすこともできない焦燥感。シッダールタが直面する苦悩を、回転舞台をうまく活用した演出と迫真の演技で次から次へと突きつける最終盤の迫力は、まさに息をするのも忘れるほど。わらび座の広報担当者が「この1年のブッダ公演では、子どもたちの食いつきがまるで違う」といい、主演の戎本みろ氏も「観劇後の感想で、しばらく言葉を喪う子どももいた」と語るのも納得の情景を経てシッダールタが悟りを開き、「目覚めた者」ブッダとして生まれ変わる。※クリックで拡大
終演後、口々に「素晴らしかった」「感動した」と帰途に就く観客たちを、俳優陣がロビーで見送っていた。そこに、招待で来場したネパール人学生から「ブッダと写真を撮りたい」という要望が出たが、残念ながら戎本みろ氏はすでに夜公演の準備に入っており、写真撮影はかなわず。とはいえ、ミュージカル『ブッダ』が、仏教の本場から来たネパール人学生にも響いたかが伝わってくるエピソードとなった。
夜の公演(福岡博多ライオンズクラブ主催)にも大勢の観客が詰めかけ、劇団わらび座公演「ブッダ」は大盛況のうちに幕を閉じた。次の機会には、より多くの人々にわらび座のすばらしい舞台芸術に触れる機会があることを望みたい。
【深水 央】
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