首謀者は国政出馬経験のある元・JFL監督~産廃処分場「乗っ取り」事件
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福岡市博多区の金隈産廃処分場を舞台に繰り広げられている、法人乗っ取り事件。一部の経営陣らが取締役会や株主総会の開催を偽装し、勝手に役員交代や増資を行っていたことが判明している。意に反する者を排除しようとする、この一連の動き。関係者への取材で、その中心に「柏田清光」という人物がいることがわかった。同氏は国政選挙に出馬経験のある、元JFL(日本フットボールリーグ)の監督だという。
「柏田氏が和幸商会に出入りを始めてから、運営がおかしくなった。彼が裏で指南しているのではないか」――関係者が口々に語る。
柏田氏が和幸商会に出入りするようになったのは、昨年11月頃とみられ、ちょうどその頃から和幸商会に変化が起き始めた。産廃の違法受入で福岡市から指導を受けていた同社は、昨年7月に行政指導(改善命令)を受けた。そして、11月20日に命令が解かれて以降少しずつ稼働を始めた処分場に、今年1月ごろから突然、県外ナンバーのトラックが出入りし始めたという。それまで県内の取引先が中心だった同社の誰が、県外の取引先を見つけてきたのか。関係者によると、柏田氏は和幸商会に出入りするようになる前は宮崎県の同じく産廃処分業D社に在籍していたという。金隈産廃処分場に出入りしている県外のトラックを紹介したのはおそらく柏田氏だろう。
柏田氏の経歴は非常に興味深い。2007年の参議院議員選挙で「共生新党」から比例代表で出馬も落選。当時の比例区候補者プロフィールには「宮崎県出身/不動産会社社長」とあり、さらにJFL(日本フットボールリーグ/註:アマチュアのトップリーグ)に参加するサッカーチーム(所在:宮崎県)の監督という経歴も記されていた。柏田氏の名刺には、産業廃棄物コンサルタント業「(株)盛大」(福岡市東区、大藏則子代表)の技術管理士とある。しかしこの「盛大」、登記は見つかったものの業界関係者ですらその存在をほとんど知らない謎の法人だ。
和幸商会の乗っ取り行為に関連して明らかになった数々の文書に、柏田氏の名前はいっさい登場しない。法人代表になれない、もしくはならない理由があるのか。市の担当者ですら「柏田さんは、和幸商会の従業員という認識で対応している」と証言する以上、柏田氏は自身の立場を取引先に説明する義務があるだろう。和幸商会は、仕事は増え始めたものの経営状況は厳しいままだ。ほとんどメリットがないと思える法人乗っ取り行為の真のねらいはなにか。周囲から漏れ聞こえてきた「拡張」という言葉に、ヒントが隠されていた。次回は、柏田氏らが描く事業計画を予測してみたい。
【東城 洋平】
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