【”檄”論】同和と森友学園疑惑~かつて部落解放同盟に在籍した立場から
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ある日同僚が、少し遠慮するような声音で聞いてきた。「森友学園の例の土地、あれ同和がらみって話があるけど……」。
記者はかつて、部落解放同盟内のある組織に在籍していた。それを知っているがゆえの遠慮だったのだろう。うながされていろいろ調べてみると、主にネット上においてだが、まあヒドい内容の書き込みがあふれていることがわかった。Google氏もご丁寧に、「森友学園、土地」の検索に「いわく」「訳あり」などの関連ワードをつけてくれるぐらいだから、このネタに興味のある下衆(ゲス)が多いのだろう。
いったいどんな与太話なのか。休刊中の『噂の真相』の元スタッフが運営していると「噂」の「LITERA」の記事がよくまとまっているので、一部紹介する(そういえば、岡留さんは元気にしているのだろうか。ル・マタンで何度かご一緒したが……)。
安倍応援団が「森友文書の『本件の特殊性』とは同和のこと」なる悪質差別デマを拡散中! 発信源は今井尚哉首相秘書官か
森友文書改ざん問題を受けて安倍政権が窮地に立っているなか、いま、ネット右翼たちが口々に言っているデマがある。それは「森友文書に出てくる『本件の特殊性』は同和絡みの土地という意味」なるシロモノだ。(中略) 評論家の池田信夫氏は、12日、自民党の和田政宗参院議員が〈財務省の報告書を読むと、何でこんなことをする必要があったのかと唖然〉などとツイートしたことに同調して、〈これが(私を含めて)本件を理解できない原因。改竄する合理的な理由がない。昭恵さんの名前は籠池が出しただけだし、「特殊性」もゴミにからむ同和の問題だろう〉と投稿している。
またこれだ。だいたい、「同和がらみ」とレッテルを貼られるパターンは決まっている。たとえば、「大阪(あるいは京都、広島、福岡)などの地名+ややこしそうな、アクの強いオッサン+土地や利権がらみ」といったキーワードを、あたかも何か裏がありそうなニュアンスでちりばめる。これに「産廃」や「団地」、あるいは「団体幹部」などのキーワードをからめれば”鉄板”で、同和利権話の一丁あがりだ。
やれ「あそこはいわくつきの土地で…」「行政も手が出せない」などの裏事情をあたかも見たかのようにからめるのも差別者の常とう手段。使い古された手法がインターネットという現代的手法で拡散されているだけだが、効果は抜群なのだろう。ちなみにこういった同和話が好きな輩は、その同じ口で「部落差別はなくなった」とわめきだすことが多い。いったい舌を何枚持っているのか、『アウトレイジ』さながら「1枚ずつ引っこ抜いたろか」と思う今日この頃である。森友学園疑惑に同和問題が絡んでいるかどうか。答えは、「知らんがな」あるいは、「おまえらには関係ねえよ」で十分だ。同和がらみの土地であろうとなかろうと、国有地であることは事実であり、仮に行政が「土地が同和がらみ」であることを理由に「忖度」したとするならば、それはあくまで行政側の問題であって池田氏の言うような「同和の問題」ではまったくない。時に見てきたかのようなうそをちりばめながら、ある事実や事象に偏見をコーティングして情報をリリースする、これこそ差別を生む構造だ。
「同和と森友学園」をあたかも森友学園疑惑の本質であるかのように吹聴する者の狙いは、単なる目くらましだ。改ざんされた決裁文書にあった「特殊性」という言葉が、安倍首相と夫人である安倍昭恵氏案件であることを指すことは明白であり、ことさら同和がらみと言い募ることは別の意図があると考えて間違いない。あるいは、使い古された手法でしか言い逃れができないほどに追い詰められた、安倍応援団の断末魔なのか。元自民党幹事長の故野中広務氏を指して、「部落出身者を総理にするわけにはいかんわな」と侮辱した麻生太郎財務相が政権運営の核を担っていることこそ、安倍政権の本質であることも指摘しておきたい。解放同盟は離れたものの、荊冠旗の下で活動した熱い日々を忘れたわけではなく、忘れられるはずもない。下衆の勘繰りには言葉の拳骨でもって対応すべきだ。差別者が座り小便を漏らすほどに震え上がった、強い「解同」の復活を願う。
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