西日本フィナンシャルホールディングス、久保田勇夫会長新春経済講演会(5)
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今年は「誰かがヘマをやらない限り」順調
では、全体として世界経済はどうかということになりますと、非常に順調に推移しているということであります。経済成長は後で表を見ていただきますとおわかりの通り、加速をいたしておりますし、市場の混乱もありません。上がったり下がったりもないですし、極端な金詰り、マーケットが困っているということもないわけであります。ではなぜそういう状況かということであります。1つは大きな懸念材料がないということです。たとえば、2年前は原油価格が下がったり、一次産品が下落をしたりして一次産品国が非常に不安定になるのではないかという要素がありました。それから同じように2年前は中国の経済政策がどうなるかということでかなり注目が集まっていたわけでございますが、だいぶそのノーマルゼーションと言いますか、いわゆる軟着陸の方向に動いてきています。それは中国政府自身においてその経済問題についての認識がはっきりしてきたということもあるかもしれませんし、先ほど申し上げた習政権の安定の裏腹かもしれないわけでございますが。そういう意味でかつて波乱要因であると言われていた中国の経済なり経済政策の安定性が増してきたと。さらにいえば、かつてのウクライナとか、あるいは中近東の戦争のように政治的大混乱もないと、そういうようなことであろうと思います。
それからトランプ政権の政策も一部現実的であることがわかってきたということであります。ただし、問題は課題が先送りされているということであります。
そこで2018年の展望について言われていることは好調に推移するということであります。米国の『ビジネスウィーク』誌の18年の展望特集の見出しによりますと、経済は誰かがヘマをやらない限り2018年はうまくいくというわけです。おそらく、わざわざ「誰かがヘマをやらない限り」と書くのは、誰かヘマをやらかしそうな人がいるということだろうと思います。
IMF(国際通貨基金)の「世界経済の見通し」も、昨年10月に発表した見通しを今年1月22日に改定いたしましたが、これも上方改定であります。ここに計数を付けておりますが、とくに米国がかなり上方改定になっています。そういうこともあって好調を維持と言っているわけです。とはいえ、政治的展開に注意が必要だということは間違いないと思いますし、さらには先送りされたいくつかの課題についてその推移をよく見ておく必要があるということだろうと思います。
(つづく)
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