2024年11月20日( 水 )

少数精鋭だからこそ、学べる仕事は多い、チャンスがあれば、海外進出も視野に(前)

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(株)R.E.D建築設計事務所

一からのスタート、恩人がピンチを救ってくれた

 福岡市早良区西新のマンションの1階に事務所を構える(株)R.E.D建築設計事務所は白を基調とした室内の中央にデスクを並べている。社員は5名ほどで、決して大きな事務所とはいえないが、福岡を中心に、佐賀、長崎など九州全域の建築設計を手がけている。スタッフのデスクを隔てる間仕切りはおろか、社長室もなく、風通しの良さを感じる。設立は2009年で、スタッフは皆若い。「仕事はスタッフを信頼して、任せることが多い」と赤樫幸治代表。勢いと活気に溢れた職場―。仕事終わりに食事に行くこともあり、コミュニケーションを大切にしている。

 同社設立時の苦労話にも触れておこう。赤樫代表は9年前、知人と会社を立ち上げたが、半年間は給料なし。その後、舞い込んできた仕事は下請の図面書きだけ。それでも、死に物狂いで仕事を続けた。会社は軌道に乗り生活も安定してきたが、その状態は長くは続かなかった。リーマン・ショックで業界は冷え込み、仕事は減少。不安のなか、旧知の取引先に救われるかたちで、個人事業として再出発した。「極限状態でも乗り越えられたのは、今でも親交がある恩人のおかげ」と、当時を振り返る。その後は、コストとデザインのバランスに配慮した仕事が評判を呼び、紹介が増えていった。人員も拡大し、組織としての成長も続いている。「それまで主に扱っていた分譲マンションだけでは、波が大きい。ほかにも実績を築かねば」と、さまざまな交流の場へ足を運び始めた。紹介が紹介を呼び、今では10以上の案件を同時並行で進行させるなど、多忙な毎日を送っている。

少数だからこそ広く学べるチャンスあり

 同社の強みは少数精鋭であること。規模の小ささはデメリットと考えられがちだが、「建築設計の1から10までを学べることは強みだ」と赤樫代表。大手設計事務所では「企画」「実施設計」「監理」などセクションごとに担当が振り分けられる傾向が強い。分業制を敷いたほうが、短期間で、その分野に精通することができるためだ。しかし、同社では人数が限られるため、そうもいかない。1つの物件に対し、担当者が最初から最後まで見ることで、建物の計画から引き渡しまでを一通り経験できる。現場監理はベテラン社員が行うイメージが強いが、同社では、若手でもある程度経験を積めば、監理を担当することができる。大手では、なかなか経験できない分野を早期に担当できるという良さがここにある。事務所近隣に託児所ができることから、託児所に法人として加盟して、育児中の女性の雇用も考えている。「少しでも採用の間口を広げて、多様な人材をそろえたい。働き方も多様であっていい。パソコンと電話があれば、出社しなくてもできる仕事もある。時間や労働環境に制約がある方でも、能力が高く、意欲のある人材はいる。在宅でも業務に携われる環境を整備できればいい」(赤樫代表)。

(つづく)

<COMPANY INFORMATION>
代 表:赤樫 幸治
所在地:福岡市早良区西新4-6-15 ル・リアン西新102
設 立:2009年7月
TEL:092-852-1730
URL:http://www.redoak.co.jp

<プロフィール>
赤樫 幸治(あかがし・こうじ)
 1993年、立教英国学院(イギリス)高等部卒業。97年、日本大学生産工学部建築工学科卒業後、(株)穴吹工務店設計部入社。2009年、(株)R.E.D建築設計事務所設立。

 
(後)

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