老舗中堅ゼネコンを支えるのは高い品質、難局を乗り切り、70周年の節目へ向かう(前)
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日建建設(株)
かつての苦境を乗り越え、充実の時代を迎える
日建建設は、1950年の会社設立から68年の歴史を誇る老舗ゼネコンである。主力はマンション建設。年間5~6件ほどの現場を適正な範囲として、無理のない工事工程を保ち、高い品質の工事を遂行しているのが同社の強みだ。マンションデベロッパーからの受注が中心だが、近年では個人投資家からの依頼を受けたマンション建設工事も手がけている。民間資本のマンションのほか、公共工事や商業施設、福祉施設など幅広い施工実績を誇っている。
2000年にM&Aでグループ会社とした(株)三京は戸建住宅の施工・販売を専門としている。同社も参画するブランド「ロコハウス」は、中庭を設けることで土地を最大限に活用したデザインが好評を博し、シェアを広げている。
先代の金子博樹氏から、現在代表を務める金子幸生氏がバトンを受け継いで16年。若くして経営に携わった金子社長は、幾度か厳しい状況に直面したものの、それを乗り越え、2020年に迎える同社の70周年に向けた社の舵取りを続けている。
懸命に営業してとにかく受注を取り、案件数を増やして売上を追求するというスタイルとは真逆に、施工品質を重視するのが同社のスタイル。リーマン・ショック時の影響で発生した負の遺産処理もようやく終わり、「社員にも、『利益が出たら還元する』という体制を取ることができるようになりました」と安堵の顔を見せる金子社長。17年に手がけた工事としては、「福岡市科学館は非常に大変だったが、予定通り終わらせることができて報われた」とのことだ。
人事・採用については「社員の年齢バランスが悩みどころです」と語る金子社長。話を聞くと、20代、30代、40代、50代と各年齢にほぼ同数の社員がいるのだという。一見バランスがいいようにも思えるが、実際にはやはり若手が多いピラミッド構造がベスト。業績が厳しかった時期に若手の採用を絞ったことが理由である。
「生え抜きの若手が育って中堅になり、活躍している。経験のあるベテランも仕事はやりやすくなった。しかし、やはり若手がはたす役割は大きい」と、若手の採用と彼らの奮起に期待している。就職で福岡を離れたものの、やはり福岡で働きたい、というUターン組や、大学・専門学校などで建設を学んでいなくても、建設に興味をもって仕事としてやってみたい、という若者など、前歴や専門は問わない。「『もともと土木を学んでいたが、建設をやってみたい』という20代の社員も在籍しています」というように、多くの若者に門戸は開かれている。
今後の採用方針としては、「毎年新卒を採用し、長く勤め続けられるような会社でありたい」と、人材定着を大きなテーマとして掲げている。なぜなら、施工を依頼する業者は「日建建設」という看板に魅力を感じるのではない。それぞれの現場を仕切る社員が、業者を惹きつける力を発揮しているという事実があるからだ。そのためには、同社が採用した若手が育ち、叩き上げの一人前となって現場を任されるような人材へと育っていく必要がある。
かといって、大量採用という発想はないという。現在、年間を通じて5~6つの現場が動いている体制が同社としては理想だ。「現在、仕事のお話はたくさんある状態です。社員を増やせば10件の現場を動かす、ということも可能かもしれません。しかし、10件の現場をやり始めれば、次はその10件を動かし続けるための発注をいただかなければいけません。そこで無理な営業をして、仕事を取りにいかなければならない局面が必ず来る。施工の質も落ちるでしょう。それは日建建設が求める姿ではない」。目先の売上増よりも、質を重視する。このスタンスがぶれないところが、日建建設らしさといえるだろう。
(つづく)
<COMPANY INFORMATION>
代 表:金子 幸生
所在地:福岡市中央区六本松3-16-33
設 立:1950年3月
資本金:5,000万円
TEL:092-731-2434
URL:http://www.nikken-co.jp<プロフィール>
金子 幸生(かねこ・ゆきお)
1968年4月16日、福岡市生まれ。西南学院大学法学部卒。福岡地所(株)を経て95年5月、日建建設(株)入社。2002年1月、代表取締役に就任。関連記事
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