2024年11月22日( 金 )

ロボット大国日本と世界のロボット市場の最新動向(前編)

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 NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から、一部を抜粋して紹介する。今回は、2018年6月8日付の記事を紹介する。


 我が国では、「鉄腕アトム」や「ドラえもん」のおかげもあり、人型ロボットが社会に馴染んでいる。そうしたアニメの影響を受け、産業用ロボットの開発や実用化の分野で活躍する道を選んだ研究者やエンジニアの数では恐らく日本は世界ナンバー1といえるだろう。

 実際、自動車や電子部品、最近では医療機器や食品などの製造工場でも、ロボットの普及率はすさまじく、世界から注目を集めている。トヨタ自動車では生産ラインでのロボット活用は当たり前で、最近では在宅介護の分野にもロボットを導入すべく海外のAI(人工知能)企業を買収し、「高齢化ビジネスの切り札」にするとのこと。

 実は日本政府は2015年1月に「ロボット新戦略」を正式決定している。すでに産業用ロボットの出荷額でも稼働台数でも世界一を達成した日本。その意味では、日本は「ロボット大国」にほかならない。今後は、農林水産業や医療介護などの現場でも、ロボットの利活用が拡大するはずだ。

 政府の掲げる目標では、「2020年には国内のロボット市場を2.4兆円にまで拡大する」とのこと。サービス業の分野でもロボットの普及率を30%まで引き上げようとの目標が掲げられている。長崎県のハウステンボスには、「変なホテル」というフロントやポーターまでロボットが務めるホテルが話題となっているが、ロボットを導入することで、人件費を通常の25%に抑えることに成功している。

 今後はサービスや生産のあらゆる場面において、ロボットが人間に代わり、主役の座に躍り出る時代が間違いなく到来するといわれる。その「ロボット時代」の最先端を走っているのが、日本なのである。2020年には、東京オリンピック・パラリンピックが開催されるが、我が国では「ロボット・オリンピック」も計画されているほどだ。2018年にはプレ大会が実施され、世界中の最先端ロボットが日本に結集するはず。官民挙げて「ロボット新戦略」を推し進める日本とすれば、何としても成功させたいものだ。

 日本の強みはいくつも指摘される。第一は、これまで培ってきたモノづくりのノウハウ。少子高齢化の影響を世界で最も早く経験している日本においては、労働生産性を高めるためにも匠の技をロボットに学習、体得させることが期待されている。2020年には大企業で25%、中小企業でも10%の仕事をロボットに委ねる計画が打ち出されているほどである。

 第二は、サービスの向上にロボットを生かす発想にほかならない。食品分野では2020年を目標にピッキング、仕分け、検品にかかわるロボットの普及率を30%まで高めるのが目標となっている。また、介護ロボットに対する期待は高まる一方で、2020年にはこの分野でのロボットの市場は500億円に拡大することが見込まれているほどだ。トヨタ自動車が注目しているのもうなずけよう。

 第三は、インフラ、災害対応、建設、農林水産業の分野である。就業者数が減少し、高齢化の波もあり、深刻な労働力不足に陥っている我が国にとって、とくに、こうした分野でのロボット労働力の導入は、待ったなしの課題といえよう。政府の開発資金を活用し、新たなロボットを20種類以上導入する計画が着々と進んでいる。

※続きは6月8日のメルマガ版「ロボット大国日本と世界のロボット市場の最新動向(前編)」で。


著者:浜田和幸
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