2024年11月24日( 日 )

九州地銀(18行)の18年3月期決算を検証する(4)

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(3)当期純利益順位表について  【表1】を見ていただきたい。
(a)フィナンシャルグルーブ(FG・FH)の順位表

<この表から見えるもの>
◆1位はふくおかFGで前期比+1,037億円の493億円。前期は負ののれん代▲948億円を一括償却したため544億円の赤字となっていた。2位は西日本FHで前期比▲10億5,700万円の222億円。3位は九州FGで前期比+47億4,800万円の198億円。

◆ふくおかFGの当期純利益は西日本FHの倍以上。また西日本FHと九州FGの合計は420億円で、1強2弱体制になっているのがわかる。

◆九州地銀18行の合計1,458億円に対し、フィナンシャルグループ(7行)は914億円で、62.7%を占めている。今後その比率はさらに高くなっていくことになりそうだ。

(b)九州地銀18行の順位表
◆1位の福岡銀行は前期比▲37億2,200万円の404億円となっている。
・2位の西日本シティ銀行は前期比+64億9,400万円の316億円と大幅な増益となっている。
・3位の肥後銀行は前期比+35億5,200万円の123億円となり5位から躍進。
・4位の鹿児島銀行は前期比+1億4,900万円の109億円で3位から後退。2017年7月11日に発生した鹿児島湾を震源とする震度5強の地震が影響したようだ。
・5位の宮崎銀行は前期比+4,800万円の87億円となり前期の4位から後退している。

◆中位を見ていくと、
・6位は親和銀行で前期比+10億3,100万円の84億円。
・7位は佐賀銀行で前期比+35億9,300万円の68億円と倍増している。ただ中味を見ると、経常利益は前期比▲5億8,600万円。しかし負ののれん発生益27億7,800万円および退職給付信託設定益22億2,400万円の特別利益を計上し、大幅な増益となった。頭取交代を決断する良いチャンスとなったようだ。
・8位は大分銀行で前期比▲15億6,400万円の59億円。前期の6位からランクを下げている。
・9位は十八銀行で前期比▲2億5,700万円の57億円。
・10位は熊本銀行で前期比+35億2,200万円の49億円と大幅な増益。
・11位は山口FG傘下の北九州銀行。貸出金利息が前期比+22億2,000万円と大幅に増加して34億円となっている。
・12位は筑邦銀行で前期比+2億3,300万円の13億円。

◆13位の宮崎太陽銀行から18位(最下位)の長崎銀行までの6行はいずれも第二地銀。ただ14位の福岡中央銀行は頭取を歴代、福岡銀行から受け入れており、16位の豊和銀行は西日本FHと提携している。18位の長崎銀行は西日本FHの傘下にあり、いずれもフィナンシャルグループとの関係をもっている。

◆単独行3行について
・13位の宮崎太陽銀行は前期比▲16億8,200万円の13億1,400万円。
・15位の南日本銀行は前期比▲11億1,700万円の8億2,000万円。
・17位の佐賀共栄銀行は前期比+6,600万円の5億5,800万円。
 この第二地銀3行は日銀のマイナス金利政策の影響を大きく受けており、今後も単独で生きていくには厳しい収益環境に遭遇しているように見える。

◆ふくおかFGと十八銀行の経営統合は無期延期となっていたが、今年5月7日、再度経営統合に前向きな姿勢を示し、「長崎県経済の活性化に貢献する経営統合の実現に向けて」を発表。寡占的になることを避け、競合する長崎銀行に債権譲渡および店舗譲渡するとしている。
 しかし西日本FHの傘下にある長崎銀行の経常利益は6億9,100万円。当期純利益は前期比+1億1,100万円の5億5,100万円。この収益状況や預貸金の数字を見る限り、顧客がすんなりと長崎銀行をメインにするとは思われないが、ふくおかFGと十八銀行は何としてでも経営統合を推し進める方向で動いている。はたして公取委はどのような決断を下すことになるのだろうか。

(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

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