福岡市、「介護DXチャレンジ事業所発表会」を開催

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 3月28日、福岡市はアクロス福岡1階円形ホールにて、「介護DXチャレンジ事業所発表会」を開催した。同発表会では、同市が推進する「介護スマートDXプロジェクト」の成果を発信する場として、ICTや介護ロボットを導入した3事業所による取り組みの紹介が行われた。

 「介護スマートDXプロジェクト」は、介護従事者の負担軽減、定着促進、サービスの質の向上を目的に、ICTや介護ロボットなどを複合的に組み合わせたパッケージモデルの導入を支援する。

介護DX修了証書授与式
介護DX修了証書授与式

    令和6年度の同プロジェクトに参加したのは、(福)そよかぜの会 (特養)りんごの丘、(医)福岡桜十字 介護老人保健施設レ・ハビリス桜十字、(福)さわら福祉会 (特養)マナハウスの3事業所。福岡市副市長・荒瀬泰子氏より、修了証が授与された。

パネルディスカッションの様子
パネルディスカッションの様子

    成果報告の後には、3事業所によるパネルディスカッションが行われた。ファシリテーターを務めたのは、導入支援を行った(株)ネクスト代表取締役であり、(福)大翔会理事長の渡辺利章氏。各施設は、導入プロセスで直面した課題や、取り組みを通じて得られた効果、そして今後の方向性について、自らの経験を基に語った。

 登壇者の発言からは、介護現場で深刻化する人材不足に対して、ICTや介護ロボットの活用が不可欠であるという共通認識が示された。ある事業所からは、「機器の導入と職員の意識を同時に変えていく必要がある」との声が上がり、単なる技術導入ではなく、現場のマインドチェンジも重要であることが明らかになった。また、今後の目標として「入居者とスタッフの双方が満足できる環境づくりを追求し、地域から選ばれる施設となること」が掲げられた。実際、DX化を早期に進めてきた事業所では、10年前に30%を超えていた離職率が現在では4%程度にまで低下しており、継続的な取り組みが職場環境の改善につながっている実例として紹介された。

 後半には、(一社)日本ノーリフト協会代表理事の保田淳子氏による特別講演が行われた。「ノーリフティングケアについて」と題し、持ち上げない介護の実践が職員の身体的負担軽減や、利用者の満足度向上に与える効果についての理解が深められた。

 国は、ICTや介護ロボット等の導入事業者割合の目標を2026年度に50%、29年度には90%と設定しており、福岡市はこの動きを先導するかたちで、モデル施設の育成と普及を推進している。今後も本事業を継続的に展開し、ICTや介護ロボットを活用した新しい介護のかたちを地域に広げることで、介護に携わる人々の働きやすさの向上はもとより、利用者一人一人の生活の質の向上にもつなげていく考えだ。

【岩本願】

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