福岡市博多区冷泉町。10月17日から始まるビール祭り「福岡オクトーバーフェスト2025」の準備で賑わう冷泉公園のはす向かいでは、現在オフィスビルの新築工事が進められている。
計画名は「NTSホールディングス福岡オフィス新築計画」で、ニッテレ債権回収(株)(東京都港区)をはじめ、各種金融サービスを手がけるNTSホールディングスグループの福岡拠点となる予定である。
建築物の概要は、鉄骨造地上7階建で、延床面積は4,430.46m2。設計・施工は戸田建設(株)九州支店が担当している。同オフィスビルは、福岡市地下鉄空港線「中洲川端駅」と同七隈線「櫛田神社前駅」から徒歩6分程度の距離に立地しており、周囲には複合商業施設「キャナルシティ博多」をはじめ、博多祇園山笠で知られる櫛田神社など、地域のランドマークや観光拠点があることから、ビジネスや地域共創の場として、相応の利便性が確保されている。
また、すぐそばには冷泉小学校跡地がある。同校は閉鎖後も地域利用が続けられていたが、2016年に安全上の理由から校舎が解体された。校舎解体後の調査では石積み遺構が発見され、「博多が中世の国際貿易都市として栄えていたことを示す学術的価値」があるとして、24年2月に「博多遺跡」として国の史跡に指定された。福岡市は、敷地面積約6,800m2の同地の活用をめぐり地域との協議を重ねるとともに、民間からのアイデア募集も実施。ホテルや観光拠点、外国人高度人材の受け入れ施設など、複数の提案が寄せられている。今年9月の市議会では、民間事業による開発を引き続き検討する一方、土地を市が所有したまま公共事業として「観光拠点施設」を整備する案も報告された。
冷泉町およびその周辺エリアは、前述の通り地下鉄2路線からのアクセスが良く、ビジネスの要衝として注目される。キャナルシティ博多や櫛田神社の存在から、インバウンド向け観光地としての期待も高い。市街地活性化の起爆剤となり得るエリアとして、今後の開発動向が注目される。
【若松大生】








