トランプ来日に同行したベクテル代表が描く、日米AI・エネルギー巨額インフラ構想

 10月にトランプ大統領が来日した際に同行してきた人物がいる。米建設大手ベクテル(Bechtel)の代表、ブレンダン・ベクテル会長兼CEOだ。彼の主な来日目的は、日米間の巨額投資・インフラ協力に関する合意への署名と、具体的なプロジェクトの推進にある。

 とくに、来日時には日本の高市早苗首相とトランプ大統領の会談に合わせて、非常に具体的な経済協力案が示された。主な内容は以下の通りだ。

1. AI・エネルギーインフラ構築への協力

 ベクテルは米商務省との間で、日本の対米投資(総額5,500億ドル規模の約束の一部)を支えるための覚書(MoU)を締結した。

• 目的: 次世代AI(人工知能)の稼働に不可欠なデータセンターや、それを支える電力インフラ(発電所、送電網、変電所)の設計・建設を担うためだ。
• ベクテル氏のコメント: 「テクノロジーのリーダーシップは、インフラのリーダーシップから始まる」と述べ、AIインフラの基盤整備における同社の役割を強調した。

2. 原子炉の廃炉・エネルギー分野での連携

 過去のトランプ政権下での来日を含め、ベクテルは日本の原子力発電所の廃炉市場への参入や、除染技術の提供にも強い関心をもっている。

• 米政府は、米国企業が日本の廃炉ビジネスに透明性をもって参入できるよう日本側に働きかけており、ベクテルはその筆頭候補として、政府高官や電力会社との協議を行っている。

3. 日本企業との共同プロジェクト

 10月の来日では、日本企業(三菱電機や富士倉など)が供給する機器や技術を用い、ベクテルが米国での施工・エンジニアリングを担当するといった日米共同のサプライチェーン構築も目的の1つだった。

まとめると:
 ベクテル代表の来日は、単なる表敬訪問ではなく、「日本の資金と技術、米国の建設・管理能力を組み合わせて、米国内に巨大なAI・エネルギーインフラをつくる」という日米経済協力の具体化と、自社の受注確定が最大の目的だ。

【青木義彦】

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