九州地銀(18行)の18年3月期決算を検証する(6)
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(4)コア業務純益について
(b)九州地銀18行のコア業務純益順位表(単体) 【表1】を見ていただきたい。~この表から見えるもの~
<上位地銀6行>
◆1位は福岡銀行で612億円(前期比+23億5,500万円)。貸出金を前期比+5,867億円と大きく増加させたことによる。・2位は西日本シティ銀行で277億円(前期比+4億2,100万円)。貸出金は前期比+2,616億円。
・3位は鹿児島銀行で170億円(前期比+1億1,600万円)。貸出金は前期比+1,897億円。
・4位は肥後銀行で147億円(前期比18億5,000万円)。貸出金は前期比+1,854億円。コア業務利益の増加は貸出金の増加ではなく経費を▲21億9,700万円節減した効果による。
・5位は佐賀銀行で132億円(前期比+1億9,300万円)。貸出金は前期比+497億円の1兆5,062億円。宮崎銀行、大分銀行、親和銀行、十八銀行より少ない。順位を1つ下げたものの、利鞘の取れる効率的な貸出をしているようだ。
・6位は宮崎銀行で129億円(前期比+13億9,100万円)。貸出金は前期比+884億円。
★ここまでが100億円以上の上位地銀であるが、貸出金の増加額に比例してコア業務純益が増加していないのがわかる。
<中位地銀5行>
◆7位は大分銀行で98億円(前期比+1億7,400万円)。貸出金は前期比+595億円。・8位は親和銀行で75億円(前期比+3億8,300万円)。貸出金は前期比+678億円。
・9位は十八銀行で64億円(前期比+1億2,700万円)。貸出金は前期比+1,434億円。経費が▲11億6,500万円だったことが前期比何とかプラスを維持した要因となっている。
・10位は熊本銀行で55億円(前期比+3億5,400万円)。貸出金は前期比+1,681億円。
・11位は北九州銀行で36億円(前期比+14億7,700万円)。貸出金は前期比+928億円。経費の▲9億7,500万円が増益に貢献し、13位から2ランク上がり中位行へ。
★ここまでが30億円以上の中位地銀であるが、上位地銀と同様に貸出金の増加額に比例してコア業務純益が増えていないのがわかる。
<下位地銀7行>
◆12位は南日本銀行で29億円(前期比▲7億2,400万円)。貸出金は前期比+2億円。・13位の宮崎太陽銀行は18億円(前期比▲9億7,700万円)。貸出金は前期比+22億円。
・14位の豊和銀行は14億円(前期比▲2億3,400万円)。貸出金は前期比+3億円。
・15位の福岡中央銀行は12億円(前期比+100万円)。貸出金は前期比+65億円。
・16位の佐賀共栄銀行は8億円(前期比6,700万円)。貸出金は前期比+33億円。
・17位の筑邦銀行は3億76百万円(前期比▲5億7,700万円)。貸出金は前期比+256億円。
・18位の長崎銀行は3億6百万円(前期比▲6,800万円)。貸出金は前期比+55億円。
★12位から18位の7行のうち、コア純利益が前期比マイナスの銀行が5行。増加銀行は2行あるものの、わずかしか増えていないのがわかる。
このなかで目に付くのは17位の筑邦銀行。貸出金は前期比256億円増加しているが、コア業務純益は前期比大きくマイナスとなっていることだ。また最下位の長崎銀行は貸出金を増加させているが、コア業務利益はマイナスとなっている。ふくおかFGと十八銀行は経営統合をなんとしてでも成功させたいとして長崎銀行に債権譲渡および店舗譲渡するとしているが、顧客が長崎銀行をメインに選ぶには厳しい収益力となっている。
<まとめ>
コア業務利益は銀行本来の収益力であるが、日銀のマイナス金利の影響は大きく、貸出金を増やしてもコア業務純益に反映されない状況が今期も続いている。上位地銀だけではなく、下位行にとってはさらに深刻な状況になっているようだ。はたして九州地銀18行の19年3月期のコア業務純益および当期純利益はどのように変動しているのだろうか。(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】
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