中国の消費者の心を掴むには~日中ビジネス交渉人 徐静波の日本企業へのメッセージ
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中国経済新聞のある読者が私の元を訪ねてきて、ある問題について討論した――どうすれば中国の消費者の心を掴めるのか?
この読者は大阪市内にある企業の社長で、家電製品の製造を行っている。中国市場に参入して10年になるが、中国での売れ行きについては満足できる業績を上げられていない。
私は彼にこのような話をした。
日本企業は昔から製品の技術と品質を追求し、「ものさえ良ければ売れないことはない」と考えている。これもある程度は筋が通っているが、現在の中国市場の状況に合致するとはいえない。
中国市場における商品の売れ行きは、ネット販売がすでに実店舗販売を超えている。特に「90年以降」「95年以降」と呼ばれる若者はネットショッピングの主力層となっている。実際の商品が見えない状況において、彼らが買い物をする際に重視するのはもはや従来の意味での「技術と品質」の要素ではない。彼らはまず商品のレビューを見て、次に自分の交友圏における評価を見て、その後で順に価格、ブランドを考慮する。中国消費者のこういった傾向は、自動車の購入において最も顕著である。
よって、中国の若年消費者の心をつかみたければ、従来の思考から脱却しなければならない。もちろん品質は重視する必要があるが、サービスをより重視し、さまざまなルートで製品
の宣伝を行い、製品の知名度や評判を向上させることが必要だ。同時にプレゼントを行うなどして消費者に付加価値をもたらす必要もある。自らが販売業兼サービス業となることで、消費者のパーソナライズ需要を満たすことができる。中国における日本製品の販売には、もう1つ優れたルートがある。「ファン経済」を利用して、中国に対して影響力のあるセルフメディアをもつ人間を日本で探すというものだ。
私自身を例にとろう。私は中国に1億を超えるフォロワーがいるが、最近、ある日本企業の宣伝としてシャンプーを紹介したところ、一カ月で1000本を売り上げたという。私のような「インフルエンサー」は日本社会について熟知しており、また中国でも高い知名度を誇るため、中国のファンたちの信頼を得やすい。「インフルエンサー」が宣伝する日本製品はファンのなかでも高い信頼を得ることができ、販売しやすいだけでなく、製品の知名度を向上させやすいため、消費者の心を掴む優れた方法である。
中国企業であろうが、日本企業であろうが、中国市場での発展は、ます生存が最重要であると思う。現在、中国の一線都市(北京、上海などの巨大都市)の消費市場は飽和しつつあるため、企業は三・四線都市(人口が50~200万の都市)における市場の空白をつかむべきだろう。
よって、日本企業が中国市場を開拓したければ、まず自らの販売理念を変え、当面は自らの製品の質を強調しすぎず、販売に力を注ぐべきだ。たとえば代理店を選ぶ際、相手が日本語を話せるか、日本文化を理解できるかといったことは気にせず、中国市場を本当に理解している代理店を選択し、彼らを通して三・四線都市での販売を開拓する。とくに中国の海浜地区の三・四線都市はいずれも経済的に豊かであり、消費能力は内陸の二線都市よりはるかに高い。また代理店に対する管理も、日本の基準に完全に準じた要求はせず、中国の代理店のやり方に慣れ、彼らの需要を知るべきだろう。たとえばより多くの商品資源、より多くの収益、より低い販売指標などを求めることが多いため、すり合わせによって信頼を確立し、双方の利益を追求すべきだ。
中国は人口13億人の巨大市場であるとともに、差別化の激しい市場でもあるため、1つの考え方、1つのやり方だけでこの市場に対応することはできない。さまざまなルートで柔軟に販売を行い、若者の心を掴むことこそが、中国市場における勝利の秘訣なのだ。
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