4月7日、「マイクロソフトが中国における事業運営を停止する」との情報が中国のSNS上で急速に拡散された。このニュースは一部の業界関係者やユーザーに衝撃を与え、中国のIT業界にも動揺が広がった。
しかし、マイクロソフトは同日、この報道を否定した。広報担当者は、「マイクロソフトが中国での運営を停止するという報道は事実ではない」としたうえで、「微創軟件(Microsoft)の事業や運営に関する問い合わせは、同社に直接確認してほしい」とコメントした。
問題の発端は、マイクロソフトの中国における主要な外部ベンダーである上海微創軟件股份有限公司(以下、微創軟件)が、一部社員に送った内部メールのスクリーンショットにある。このメールでは、「地政学的な状況や国際的なビジネス環境の変化により、マイクロソフトはグローバルな戦略の再構築を進めており、4月8日をもって中国区における業務を正式に終了する」と記載されていた。
この発表により、マイクロソフト関連のプロジェクトチームも業務終了となる見込みであり、微創軟件としては、今後ベトナム、日本、ハンガリーなど欧亜地域での海外展開を積極的に進める意向を示している。さらに、影響を受けた従業員には海外での職務機会を優先的に提供する方針だという。
同社のある社員は中国メディア「財新」に対し、メールの内容が事実であることを認め、「突然のことで皆驚いている」と語った。さらに、今回の動きの背景には、米国バイデン政権による対中政策が影響しているとの見方が社内では一般的だという。影響を受ける従業員は1000~2,000人とされ、北京や上海、広州など複数都市におよんでいる。微創軟件は従業員に対して「N+1」の補償方式での退職提案を行っている。
実際、米国政府による中国のハイテク産業への規制強化が進むなかで、マイクロソフトも中国における一部業務の縮小を進めてきた。今回のような外部ベンダーとの提携関係の見直しも、その流れの一部とみられる。
表面的にはマイクロソフトの公式立場として「中国撤退」は否定されているが、現実には段階的な縮小や再編が進んでいることは否定できない。とくに技術移転や人材の海外移動など、今後の動向は中国IT業界にも大きな影響をおよぼすだろう。
中国初の超知能安全実験室が北京で設立
3月29日、マルチモーダル超知能安全北京市重点実験室が中関村フォーラムで正式に公開された。同実験室は中国科学院自動化研究所を基盤とし、人民中科などの機関が共同で設立したもので、人民中科の首席科学者が実験室の責任者を務める。
北京市が重点的に支援する基礎研究機関として、マルチモーダル超知能安全研究室は、超知能分野の基礎研究を推進し、スーパー人工知能や人工知能安全などの最前線研究を行い、複雑な技術的・応用的課題を解決し、世界一流の科学研究プラットフォームの構築を目指している。
超知能(ASI)とは、人間の知能を超える機械知能システムを指す。現在一般的な事前訓練されたAIと比べると、超知能は極めて少量のサンプルデータで自律的に学習でき、人間に近い直感、法則の洞察、複雑な問題解決において大きな優位性をもち、科学の境界と想像力を大幅に拡張する。これにより、科学研究、金融、医療などの複雑なシーンで幅広い需要がある。たとえば、科学研究のシーンでは、超知能は学問分野の枠を超え、膨大な実験データを直接分析し、そのなかに隠された科学的法則や原理を発見できる。さらに、従来の研究パラダイムにおける既定の理論的枠組みや研究方法に依存する制約を打ち破り、破壊的な研究課題に直接取り組むことが可能だ。これにより、人間の科学的探求の範囲、規模、視点が大幅に拡張され、新たな人間と機械の協働研究パラダイムが構築され、世界の科学研究の様相が一変するだろう。
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