なぜカンボジアでカジノが大はやりしているのか?日本に出る幕はあるのか?(後編)
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NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から、一部を抜粋して紹介する。今回は、2018年8月17日付の記事を紹介する。
かつては日本もODAはもちろんアンコールワット遺跡の修復等を通じてカンボジアとの友好親善に努めてきた。しかし、資源の開発利権などには一切係ってこなかった。今回の国政選挙でも投票所で使われるジュラルミン製の投票箱は全て日本政府が提供した。総額8億円である。しかし、野党を解党させ、実質的には「出来レース」の選挙のあり方には欧米諸国はこぞって反対。選挙監視団を送ることすら撤回したほどである。アメリカ政府を筆頭に、フン・セン独裁体制下の選挙結果は認められないと強い立場で臨んでいる。
日本はその点はあいまいな姿勢に終始している。カンボジアの顔を立て、8億円の選挙支援は行ったが、欧米諸国に歩調を合わせ、選挙監視団は見送るという対応であった。一方、中国の動きは徹底していた。フン・セン首相の権力基盤を盤石にするため、日本の100倍規模で選挙支援活動を実施。親中国派の首相が落選し逮捕されることになった「マレーシアの徹を踏まないように」との深慮遠謀が伺えた。
いずれにせよ、選挙もカジノ経営も同じような視点で取り組んでいるのがカンボジアの現政権である。カジノを起爆剤に中国のみならず周辺国の富裕層を取り込む作戦は今のところ順調に推移しているように見える。日本政府のように「入場料を6,000円徴収し、入場回数も週3回に制限し、収益の30%を国庫に納めさせる」というような無粋なことはしていない。
とはいえ、カンボジアではカジノ絡みの犯罪も急増中。一部のカンボジア人は大きな富を手にしたようだが、国民の大半は急激な土地や物価の値上がりで苦しい生活を余儀なくされている。また、自然豊かで「地上の最期の楽園」と呼ばれていた地域が次々とホテル、リゾート、カジノに様変わり。自然破壊も進行しているようだ。これでは、いずれ大きな反動が来ることが懸念される。
ところで、カジノ法案を巡って、日本の国会では「依存症対策が懸念される」といった意見も出されたが、日本人のギャンブル好みは激減しており、パチンコも競艇も最盛期の1割程度の売り上げだ。平和島の競艇など、最盛期には1日10億円を下らぬ売り上げがあったのだが、今では1日1億円がせいぜいといった具合。パチンコ店も数も売り上げも減る一方だ。
※続きは8月17日のメルマガ版「なぜカンボジアでカジノが大はやりしているのか?日本に出る幕はあるのか?(後編)」で。
著者:浜田和幸
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