「夜逃げ?」突然運休の五島産業汽船~野口社長とはいまだ連絡つかず
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2日、唐突に4航路を運休とした五島産業汽船。新上五島町など関係行政機関によると、1夜明けた3日午後3時現在、いまだ同社・野口順治社長とは連絡のつかない状況が続いているという。同町は、引き続き情報収集を行うとともに、町民の生活交通でもある航路の再開に向けて対応を協議中という。
運休に関する同社からの最初の連絡は1日、出張中の江上悦生町長に電話があったという。その後、同町から連絡を受けた長崎県が同社に連絡するもつながらず、同日夕刻、県職員が同社を訪れ、「経営上の都合」で運休することを確認した。
同社は、長崎市と上五島(鯛ノ浦港)、佐世保市と上五島(有川港)、佐世保市と下五島(福江港)、長崎市と天草市(崎津漁港)の4航路でフェリーや高速船を運行。九州運輸局には、1日までに長崎・崎津と佐世保・有川の各航路の廃止届(佐世保・有川は9月25日付で廃止決定)、長崎・鯛ノ浦と佐世保・福江の各航路の休止届(来年10月末まで)が提出されていた。
長崎港と鯛ノ浦港で運行する高速船2隻は、新上五島町が購入し、同社に無償で貸与していたもの。同町によると、2隻とも港に停泊しており、異状は見られないという。
島の人々の生活交通だけでなく観光振興の面でも重要な役割を担っていた同社。しかし、その経営状況はかねてより悪く、2013年4月期時点で累積損失10億8,040万円を抱えており、9億5,540万円の債務超過。14年4月29日に1億9,000万円の減資を実施していた。近年の業績推移から、依然として苦しい財務状況にあったものと思われる。さらに直近では、船舶の売買で多額の損失を計上するなど資金繰りが悪化していた。
同社は前日まで予約を受け付けており、突然の運休にパニックに陥った利用者は少なくない。混乱収拾のため港に向かった新上五島町職員によると、同社社員ですら状況を把握しておらず、困惑していたという。突然で一方的ともいえる電話連絡のあとに姿を消した野口社長。これまでに多額の助成を受けて公共性の高い事業を手がけてきたにも関わらず、説明責任を果たさないままの逃亡には「まるで夜逃げ」との批判もあがっている。
なお、同社株主で関連会社の熊本ドック(株)(熊本県八代市、加藤勝代表)は、取材に対して「答える義務はない」などと取材拒否の姿勢。法人登記上、五島産業汽船の監査役は加藤勝氏が務めている。
【山下 康太】
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