子供を生む女性のいない国・日本最大の危機(後編)
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NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から、一部を抜粋して紹介する。今回は、2018年12月28日付の記事を紹介する。
2018年現在、この日本で生きている日本人の75%以上は、人口が1億人を切ると見られる2040年にも生きていると想定される。高度医療や手厚い福祉のお陰で、さまざまな不安や困難はあるとはいえ、現代社会に生きる日本人は、世界最長の寿命を謳歌しているわけだ。自殺者が毎年3万人を超えているとは言うものの、平均余命は記録を更新する一方である。
さて、人口減少に対する切り札の1つとして、外国からの労働者を受け入れるべきではないか、との議論が高まってきた。今でもいわゆる「3K」職場には外国人労働者が多数従事している。とはいえ、日本人の間にはいまだ純血思想が根強く、短期の観光客や専門職の外国人は歓迎するものの、長期滞在や日本国籍を取得するような移民に対しては、強烈な拒否反応が想定される。先の国会では外国人労働者の受け入れに関する新たな法律が成立した。とはいえ、その実施には課題が多い。
アメリカの著名なシンクタンクであるブルッキングス研究所で、移民問題の専門家として高い評価を得ている学者に、オードリー・シンガー女史がいる。彼女曰く「日本は移民の受け入れを拒むことで、没落していく国の代表例として注目されている。その点で日本は世界の教訓と言えるだろう」。
実際、わが国の移民受け入れは世界最低水準といえよう。例えば、日本の人口の6%しか国民のいないスイス。永世中立と外国人制限で有名だが、そんな小国ですら、日本の3倍もの外国人の帰化を認めている。わが国では一般永住者の数は220万人程であり、総人口に占める割合は1.7%に過ぎない。この比率は、世界の中では170番目に位置する。いわば、世界の中で最も移民受け入れに対して門戸を閉ざした国が日本と言えそうだ。
日本政府は2008年に観光庁を立ち上げ、積極的に外国人の観光誘致を進めようとしている。2020年の東京オリンピックを目標に4,000万人の外国人観光客を呼び込む計画だ。一方で、外国人を歓迎する姿勢を見せながら、他方で外国人の犯罪への係わりを懸念する国民が多いことに対して、何ら有効な対策を講じていないのではないか。
実際の状況はどうなのだろうか。警察庁のデータによれば、外国人の犯罪検挙件数は2005年をピークに減少傾向にある。外国人の入国者数は年々増加し、今では3,000万人を突破しているにもかかわらず、犯罪事案は少なくなっているのが事実だ。この点、メディアも国民も現実と冷静に向き合う姿勢をもたねばならない。
現実は日本人労働者が減っている上に、将来的に人口が自然に回復することは望み薄である。となれば、必要な労働力を確保し、サービスを維持するためには移民の受け入れも検討せざるを得なくなるのではないか。もちろん条件付きで。
※続きは12月28日のメルマガ版「子供を生む女性のいない国・日本最大の危機(後編)」で。
著者:浜田和幸
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