【流通ジャーナリスト西川立一のトレンドウォッチ】中小地場食品スーパーのアクシアルリテイリング~自然にレジカゴに入れてもらえるPB開発が好評
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「柿の種」といえば、唐辛子風味の「辛さ」が売り物だが「辛くない柿の種」がある。新潟と群馬を中心に店舗を展開する食品スーパー、アクシアルリテイリングのPB商品。子どもに食べてもらいたいと開発されたものだが、辛いものが苦手な人にも好評で隠れた人気アイテムとなっている。
この逆転の発想を生み出したのが、PB開発を行っている関連会社アクシアルレーベル。大手と同じ土俵で戦っても勝てないと考え、低価格で品質の良いものをめざして、独自の視点で商品を開発している。
過去の取り組みの失敗事例も盛り込んだ開発手順書を作成し情報を共有化し、意思統一、マニュアルに沿って開発することで、誰が行っても開発意図や商品設計がぶれないようにしている。
加工食品や日配品が中心だが、最近は冷凍食品、生鮮、惣菜、日用消耗品にも広がり、レトルトカレー、ペットボトル飲料、ヨーグルト、チーズなど、それぞれのカテゴリーで売上トップ、もしくは上位のものも多く、全体の売上をけん引している。
2年前に単身者からファミリー層へターゲットを切り替えたカットサラダ「5種類の炒め野菜」は、量目を1.5倍にし、98円という低価格で提供し爆発的なヒットとなった。昨年4月に発売した「抹茶香るまろやかラテ」も、翌5月は従来のNB(ナショナルブランド)の1年分を販売し、それ以降も人気を持続している。
こうして数々のヒットを飛ばしてきたが、店舗スタッフの理解と協力を得て、商品陳列を工夫、試食、イベントなどを実施し、売場で売り込みに力を入れてきたことも大きい。いくら商品が良くても、売場での取り組みが弱くてはPBは売れない。
昨年、4月に投入した「焙煎スパイスカレー」では、第3週の「毎週一品、集中販売」に選定し、折込チラシに50円引きクーポンを刷り込み、レジでも関連商品クーポンを自動発行した。さらに、トッピング企画で、フライ揚げ物、サラダチキン、温泉玉子、ミックスチーズ、など10アイテムを提案、ペアクーポンも用意し、トッピングやカレーに合うPBドリンクを推奨するPOPも作成した。自社のホームページのバナーにもおいしいわけなどを説明した記事も掲載した。
現在、メーカーの留め型商品も含めて約400アイテム。これからも、原材料の調達などに自社物流を活用、包材も見直しコストを削減、製造段階での品切れも防止し、自動発注も進化させて在庫を適正化し、粗製乱造ではなく、「自然にレジカゴに入れてもらえる」商品を開発し品ぞろえを拡充していこうとしている。アクシアルのPBは、大手チェーンに十分対抗できるきらりと光るPBである。
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